興味深い講演を聞いた。

ミヒャエル・エンデ作「モモ」の中に描かれている「星の時間」についての考察。演者は、NHK 「100分で名著」のプロデューサーである秋満吉彦氏。

「星の時間」とは、全く意図していない時に、考えもしなかった方向に大きく導かれてしまう体験。奇跡とか、人生の分岐点とか、生死の分かれ目とか、人智をこえた神の采配とか、そんな風に語られる事柄には「星の時間」が働いている。そして、良くも悪くも、大きくても小さくても、誰にでも訪れる時間である。

思い返すと、確かに私の人生にもそんな時がある気がする。あの日、あの時、偶然にあの人と出会わなかったら、今、私はここにいないかもしれない…的なこと。漫然と過ごしていると単なる偶然で終わってしまうけど、「あっ、もしかして、今は星の時間かなぁ」と気がついて、その時間に臨むことかできたら、人生の楽しみかたや真剣度は何倍も変わってくるかもしれない。

秋満氏は、読書で「戦争を止めることができる」と話していた。指導者たちが、世界中の人々が、先人達が残した書物に真摯に学ぶことができれば、戦争や貧困は止められるのにと。