五回目の検査結果(後編) | 慣れないハリネズミ棗の終活

慣れないハリネズミ棗の終活

生き物をまともに飼ったことがない超・ど素人がハリネズミとマルチーズに切磋琢磨。金魚・ハリネズミは虹の橋へ。男女双子の妊娠・出産・育児記録。ハリネズミの緩和ケア記録。インスタ→tippy_white(マルチーズのティッピー)

こんにちは。

時間が空いてしまいましたが、五回目の検査結果の続きを報告します。後半は【棗の終活】へと繋がる重要な検査結果と治療方針の選択のお話です。



クローバークローバークローバー




「やはり、胸の部分に〝しこり〟がありました」

そう言って、主治医は棗の〝しこり〟の大きさを測定した写真を見せてくれました。


約3×4.5㎝の赤紫色の大きな〝しこり〟だった。

何故、こんなにも大きな〝しこり〟に気付けなかったのか。これまで、どんなに小さな点でも気付いて、防いで来たじゃないか。

今まで様々な資料でハリネズミの腫瘍の写真を見て来る度に(どうして、こんなに腫瘍が大きくなるまでに気づかず、病院に来なかったのかな…可哀想に。)だなんて思っていた。何て愚かで、傲慢甚だしい。それは、数年後の可哀想な棗の姿であり、こんなに腫瘍が大きくなるまで気付けずにいた私自身のことであったというのに。

主治医はレントゲンの結果、骨に異常は無かったけれど…

「〝しこり〟は、胸骨・肋骨に固く固着しています」


ピンク色で囲った部分が〝しこり〟です。
固着とは【他の物にしっかりとくっつくこと】です。つまり、棗の〝しこり〟は胸骨・肋骨にベッタリ貼りつき、ガチガチに固まって張り付いていて、動かない状態でした。


胃にガスが多く溜まっているのは、胸の〝しこり〟が肺を圧迫し、呼吸数が多くなっている影響ではないか、とのことでした。

レントゲンの結果を見て、CTの撮影・針生検・細胞診が必要だと感じた主治医。




超音波の結果、心臓に負担はかかっていないようだけれど…CTで撮影した結果も同じく、棗の〝しこり〟は、やはり胸骨と肋骨にベッタリと固着していました。

胸の〝しこり〟は骨の下には入っていないとのことで、少し安心しました。

朗報としては肺や他の部位への転移が無かったこと。

棗の胸骨・肋骨にベッタリと固着している〝しこり〟を手術で取り除くということは、それは、胸筋を切除するということ。

しかし、肺(呼吸)は胸筋によって動いているので、胸筋を切除することは呼吸する力が弱くなることを意味します。それは、ただ悪戯に寿命を短くするだけということです。

何より、胸骨と肋骨にベッタリと固着している為、取り除けないだろうこと…体を切って開けても、閉めることしかできないであろうこと。

私たちは〝自分たち(慣れないハリネズミの飼い主)のポリシー〟を曲げ、手術も視野に入れた上で、この部屋(診察室)来ました。

なのに

結局、残された選択肢は3つしかありませんでした。

それは、まるで【棗の気持ち】を代弁しているかのようで…グラグラと揺れていた〝棗の気持ち〟と〝親のエゴ〟の天秤がカタン!と傾いた瞬間でした。

私達は、棗が3歳の壁を超えてから【慣れないハリネズミの棗に死が近づいた時の選択】をカメ吉と話し合い、その方針を決めていました。だから、もう…悔しいくらいに、迷うことなく、とてもシンプルなものとなりました。

主治医に提示された治療法は

①放射線治療提携している大学病院に通院しなければならない。時間と資金がかかり、今の棗にとって負担がかかり、現実的な治療ではない為、三人一致で却下!

②免疫機能アップのサプリを処方する方法

③分子標的薬

丸ブルー抗がん薬ではない。
丸ブルー今までの経験上、ハリネズミにとって効くか否かは五分五分。
丸ブルー効かなかった時のデメリットは特になし
丸ブルー効いた場合は〝これ以上進行しない〟〝ゆるやかに進行する〟
丸ブルー副作用はあまり無いが、嘔吐下痢など
丸ブルー週に3回だけ飲む


山田夫妻は棗に対して、緩和ケアを望んでいました。しかし〝全く治療しない〟のではなく、棗が大きな〝しこり〟に胸を圧迫されて苦しいのならば、少しでも楽にしてあげたい…少しでも棗にとって楽しい日々を送って欲しい…そういった願いから分子標的薬を選択しました。

棗は針生検により、細胞検査センターに提出し、【診断結果】を待つことになっていました。




質が良くなく、悪性腫瘍の可能性が高いと主治医に言われました。

もし悪性腫瘍ならば、分子標的薬を〝今日〟からでも投薬し始めた方が良いと。

その日の夜から【山田夫妻と慣れないハリネズミ棗の終活】は始まりました。

因みに、今回の検査でかかった費用は


でした。

棗を我が家に迎えてから棗の医療費から葬儀代まで全て私が支払って来ました。

この四年半の医療費の総額を計算してみたいと思っていますが…棗は手術をしなかった分、安かったと思います。それでも、この金額ですから…今後、ハリネズミを迎えたいと考えている貴方に、是非知っておいて貰いたいです。エキゾチックアニマルは、医療費が高額です。生きている間の医療費と葬儀代をしっかり支払えるかどうか…よく考えてくださいね。


先生、もっと早く私が気付いていれば…こんなことにならずに済みましたか。

項垂れて質問した私に

…いいえ、たとえ発見が早かったとしても〝しこり〟の位置が悪いので…残念ながら、同じ結果になったと思います。

診察では一度も泣かなかった。
取り乱さなかった。覚悟済みだった上に、主治医の一言一句を聞き逃したくなかったから、嘆いている暇なんて無かった。

だけど

診察室を出る時、言葉が溢れて。
先生の返答に「そう…ですか」とだけ言って。
淡々と会計を済ませて、分子標的薬の説明を受けて、カメ吉と棗が待つ車に戻った。

よく…覚えていないけれど。

帰り道。

車窓から私が大好きな〝夕陽が消えかける瞬間の紫色っぽい青色の空〟が見えた。とてもとても綺麗で…綺麗すぎて、涙が出た。胸が苦しい。


胸が苦しいのは、棗なのに。
私ではなく、棗なのに…ごめん、ナツ…

涙が溢れて、棗が入っているケースの蓋に涙がホタホタと落ちていったのを覚えている。

あと何回、あの空を見ながら君の部屋のカーテンを閉められる?

あと何日?

君と一緒に過ごせるのだろうか、棗。


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