2004-12-07 11:32:47

新作DVD&命がけ「エレファント」 ☆☆☆☆

テーマ:命がけでオススメの映画
 その事件もすべては「日常」の延長線上にあった。



タイトル: エレファント デラックス版


カンヌ映画祭パルムドール 監督賞 受賞  

単館系で上映され、いまいちぱっとしないまま終わってしまったこの映画ですが、私は今年度のベストと言ってもさしつかえのない作品だと思います。ぜひともこの機会にご覧になることを命がけでオススメしたいと思います。
やるせなさと怒りと感動があなたを待っています。

若干のネタバレがありますが、ネタバレがどうこうという映画でないので読んでいただいて差し支えないと思います。

全米を震撼させた米コロラド州コロンバイン高校の銃乱射事件を題材に、「グッドウィルハンティング」のガス・ヴァンサントが、独自の視点で高校生の日常を描き出したのが、この「エレファント」です。

この映画に緻密なストーリーなどはありません。どこにでもある、とある高校の朝の風景が、何人もの学生の視点から語られます。
ジョンは朝から酔っ払っている父親を車で休ませ高校へ向かう。
写真部のイーライは恋人達の写真をとりながら高校へ。
アメフト部のネイトは朝練を終えて彼女のキャリーと待ち合わせ。
食堂では仲良し3人娘が噂話に花を咲かせる。
内向的なミッシェルは体育を終え、一人図書館へと向かう。
そんな中イジメられっこのアレックスと親友のエリックは家で荷物の到着を待っていた・・・。

同じ場所、同じ時間。それが何度も繰り返し違う学生の視点から語られます。そしてその繰り返しを経験するうちに、いつしか私達も彼らの日常に入り込んでいくのです。カメラに写る登場人物達に自分の高校時代を投影し、まるでそこに自分がいるかのような気分にさせられます。一人の人間をずっと追っていくカメラワークも見事です。この映画のカット数は普通の映画よりずっとすくないと思いますが、どこにでもある普通の日常をこれほどまでも美しく完璧に描いた映画を他に知りません。そしてそれが完璧であればあるほど、後半崩れていく日常がリアルに際立たされるのです。

後半、アレックスとエリックは銃を持って学校を恐怖に陥れます。二人は復讐の鬼や殺人鬼というよりは、普通にゲームでもしているかの様に描かれています。まるで現実感のない二人を見て、現実感の無い生だからこそ、死にも現実感が沸かないのだろうかと考えさせられました。たんたんと計画を進めていくアレックスとってはその行為すらも日常の当然なる帰結だったのではないでしょうか。

私がこの映画を観たのは7月だったと思います。それから4ヶ月たってもこの映画の映像は色あせませんでした。今日は「エレファント」を書こうと決心したら、映像と劇中で使われた「エリーゼのために」が頭なの中をグルグルと回っているのです。
あらためて凄い映画だなと実感しました。
ショッキングでありながらなんの説明も動機も描かれません。あるのは日常の結果のみです。この映画の感想は観た人の数だけあるのではないでしょうか。

公式ページ
コロンバイン高校銃乱射事件が詳しく解説されているページ

関連映画



タイトル: ボウリング・フォー・コロンバイン
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2004-11-26 11:06:11

今日は命がけ第1回 「シティ・オブ・ゴッド」 ☆☆☆☆☆

テーマ:命がけでオススメの映画
 人柱的ブログの管理人ハリネズミが命がけでオススメする「今日は命がけ」の第1回はブラジル映画「シティ・オブ・ゴッド」です。

2003年度ハリネズミ賞最優秀作品賞受賞
 
 サンバカーニバルで有名なリオデジャネイロから少し離れた場所に「神の町(シティ・オブ・ゴッド)」と呼ばれるスラム街がある。そこでは強盗や殺人が横行し、警察でさえ手におえない状態が続いている。ギャングが町を支配し、常に抗争が続いている。そんな最悪の町で成長していく少年達を描いたのが、この「シティ・オブ・ゴッド」なのです。

 この映画は真実の物語であり、実際に「神の町」出身のカメラマンが書いたノンフィクション小説を題材にしています。そしてこの映画に出演しているほんどの俳優は、実際に神の町などのスラムに暮らす子供達です。演技に対してまったく素人であった彼らを、1年間訓練して撮影したそうです。そしてそのことがこの映画にさらなる迫力を与えています。この映画がリアルであることを証明するあるエピソードがあります。なんとこの映画に出演した俳優のうちの何人かは、現在逮捕され刑務所で服役中なのです。映画撮影後スラムに戻った彼らを待ち受けていたのは、実際に映画の中で描かれているとおりの「神の町」だったのです。

カメラマンを夢見る少年ブスカベ、ギャングを目指すリトル・ゼ、その親友のベネなどの成長とそれを取り巻く様々な人々の運命を60年代後半、70年代、70年代後半に切り分けながら描いていきます。しかしその内容は凄惨たるものです。ドラッグ、強盗、殺人、子供達が銃を奪い合い殺しあうという衝撃的なストーリーです。容赦も感情もなく子供達は、人を殺します。そして純粋にさらなる力を求めるのです。これが現実だと言わんばかりに。

この「シティ・オブ・ゴッド」の本当に凄いところは、ここまでこのレビューを読んで、あなたが想像した映画とはまったく違うタイプの映画だというところです。
この映画には暗さのかけらもありません。ポップでラテンなノリとスタイリッシュな映像で、残酷な物語を明るく語っていきます。そして残酷な物語と明るい演出という相反する二つの素材の絶妙なミスマッチこそが、「シティ・オブ・ゴッド」を素晴らしい映画にしています。

死すらも身近にありすぎて感じることのできなくなった子供達の物語を明るく描くことで、「神の町」の現状を浮き彫りにしていく・・・。ブラジル人監督のフェルナンド・メイレレスの演出手腕に、惜しみない拍手を送りたいです。


さて、「今日も命がけ」シリーズの第1回をお送りしましたがどうだったでしょうか。自分が本当に好きなものについて書くのは本当に難しいもので、自分が感じた衝撃や魅力をどうやったら文章にして読む人に伝えられのかで、ものすごく悩みます。今回もかなり不安ですが、これを読んで鑑賞していただける方一人でもおられれば幸いです。


タイトル: シティ・オブ・ゴッド DTSスペシャルエディション (初回限定2枚組)
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