人工知能は資本主義を終焉させるか (齊藤元章 井上智洋) | 地球日記

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AIの進化は生産力を格段に押し上げながら、人間から仕事を奪う。そのため、新しい雇用先のない失業者が激増する。さらに、今ののままの信用創造システムでは通貨供給が滞るため、需要と供給のバランスが崩れる。よってモノの生産と市中に出回るお金を釣り合わせ消費活動を興すには、ベーシックインカムが効果的である、というのがこの本の前半部分である。後半は、そこからさらに発展させて、無料で発電出来る装置や無料で作れる植物工場、3Dプリンタといった生産手段を、個人に分配することで自給自足するお金の要らない世界を展望する。AI、スパコン、ロボットといった、お金を無くすための技術的基盤は10年後20年後に完成し、時間の問題であるらしい。フリーのエネルギー源として常温核融合という眉つばで危険な提案もなされるが、全体として裏付けのない夢物語ではない。ベーシックインカムとAIロボットによる生産が拡大すれば、確かに市場の役割は小さくなり、金利を餌にした野放図な拡大再生産も行き詰るだろう。人工知能は資本主義を終焉させるのである。最近は、プロ共産主義者よりもエンジニアや近経学者、経営コンサルタントといった人達の方が鼻息が荒いので困る。