「大量宿題の罪」

 

お母様方がお子さんを通塾させる理由はいろいろあると思います。お子さんが友達のいる塾に通いたいと言い出した、テストの成績が下がってきて何とかしなければと思った、などなど。でも、恐らく一番の理由はこうなのではないかと思います。

「家で勉強しない息子の姿を見ているとイライラする!」(笑)

 

家でまったく勉強していないわけではないのでしょうが、お母様方が満足するほど自宅で勉強する子どもは稀です。いや、お母さんは恐らくお子さんがどんなに勉強しても満足はしないでしょう。月曜から金曜まで毎日猛勉強したとしても、土日に勉強していなければ、「勉強しなさい!」って、つい怒鳴ってしまいますよね?つまり、親は、常に子どもが勉強している姿を見ていたいのです。例え「嘘」でも。

 

この欲求を満たしてくれるのが「塾」です。それも大量な宿題を出してくれる塾。神奈川でも大手と呼ばれ大変たくさんの生徒が通塾している塾がありますが、そこでは大量の宿題を出します。毎日塾の宿題に追われ、子どもたちはヒーヒー言いながら机に向かいます。そうすると、お母様方のストレスが一気に解消される、というワケです。あれ、もしかして私今お母様方を敵に回してますか?「それのどこが悪いんですか?何か文句あります?」って(汗)いえいえ文句なんてありませんよ、我が家も昔はそうでしたから…そうしたお母様方のお考えを真っ向から否定するものではありませんのでどうか怒らないでください!

 

しかし、今日は敢えて、誤解を恐れずにお話をさせていただきます。お母様方のストレス発散とお子さんの成績向上は、残念ながら比例しないということを。むしろ塾に通い始めたにもかかわらずお子さんの成績がどんどん落ちて行っていませんか?だとしたら、それはもしかしたら塾の宿題が影響しているかもしれません。そのことをお母様方に知っていただきたいのです。

 

大手塾で出される大量の宿題は、確かにお母様方のストレスを解消してくれるかもしれません。「勉強しなさい!」とガミガミ言わなくても、子どもたちが自然と机に向かうようになって行くのですから。しかし、実際そこで子どもたちが行っていることは、「作業」です。宿題の中身が基本問題ではなく応用問題ばかりなので、宿題をやりながら実力を付けていける生徒は少ないです。大多数の生徒は基本が身に付いていないにもかかわらず応用問題をこなすために、勘で解いたり答えを写したり。私も昔、娘たちが毎日一生懸命宿題の答えを写すという作業をしてる姿を目撃していました。真面目だった私の娘が初めてズルを覚えたのが塾の宿題でした。「そんなことやっていいの?」と問いただすと、「いいんだよ!みんなやってるもん!」と悪びれる様子も有りません。しかし、ただ写すと言っても量は半端なくありましたので、それでも1時間から2時間くらいはかかります。毎日そうした作業に追われ、学校の宿題やテスト勉強は後回し。そしてどんどん成績が落ちて行ったのです。まだうちの娘は学校の提出物を真面目に出していたのでよかったですが、要領の悪い子は塾の宿題以外は何もできなくなってしまうかもしれません。学校の宿題は提出しなくても成績が下がるだけで(笑)みんなの前で発表されることはありません。しかし、塾の宿題はやって行かないとみんなの前で発表され恥をかいてしまうので必死なのだそうです。いかにも子どもらしいプライオリティーの付け方です。

 

それでは、にもかかわらずなぜ大手塾ではそんなに宿題を出すのだと思いますか?

まず1つめは、上記のようなお母様方のニーズをよく弁えているからでしょう。塾が経営を成り立たせるためには、生徒を増やし売り上げを上げなければなりません。当たり前です。そのためにはお母様のニーズにしっかり応えなければなりません。お子様の成績を上げることが唯一無二のニーズだと思うのですが、恐らくお母様方のストレス発散の片棒を担ぐことがより重要なニーズになっているのでしょう。

2つめです。私も何でもかんでもとにかく宿題は良くないと言うつもりはありません。ほどよい量の宿題は絶対必要です。実際、宿題がないと家で「全く」勉強しない主体性のない子どもはたくさんいますし、また逆にその大量な応用問題の宿題をきっちりこなして行くことで凄まじく実力を付けていく生徒がいることも事実です。その生徒がいわゆる難関校、TOP校へ合格していくことで、塾としては大きなPRとなります。○○高校100名合格!××高校50名合格!って。しかし、そうした生徒は全体の中のほんの数%に過ぎません。それこそ10名の中に1人、いや20名の中に1人いたら良い方かもしれません。

 

結論的に言えば、子どもたちに宿題はやはり必要です。しかし、宿題として本当に必要なのは、その「量」ではなく「質」なのです。生徒に応じた「中身」なのです。

子どもたちの実力や理解力、進捗や得手不得手に応じて変えるべきです。そして、やったかやらなかったかを問うのではなく、

「しっかり理解してきたか」

を問うべきだと思います。そのためには、宿題チェックはもちろんですが、理解できているかどうかの「確認テスト」を都度行うべきです。大手塾の大量宿題→やったかやらなかったかの確認→次の宿題→確認…これら一連の作業は、一部の優秀な生徒のみをフォローしそれ以外のほとんどの生徒を蔑ろにする大きな「罪」なのではないでしょうか。宿題の個別管理は個別指導塾でないと難しいかもしれません。そのあたりもしっかり吟味して、塾選びの参考にしていただけたらと思います。