生活習慣病の予防を、指導や啓発に基づいて患者が努力すれば、どうにかできるという思い込みが・・・・・・・・・・

そもそも、生活習慣病予防や禁煙治療の問題を複雑なものにしている

意識や努力によってなんとかできるはず・・・・・・・・・

ということは、なんとかできない人はだらしないどうしようもない健康落第生、二級国民

なんていう差別意識へとつながるし、

指導的立場の医療者が太った愛煙家であってはならないといったような、

もともと差別が前提の精神論が当たり前のように意識されていたりする

そもそも、エビデンスでみれば、

医師による健康介入や、保健師による保健指導には、殆ど効果という効果は認められていないのである

その事実にしっかり真摯に向き合うことが最初の一歩である。

これは啓発の仕方や指導の仕方といったテクニカルな要因によって効果がないというようなものではない

特定保健指導による肥満改善率2%、血液検査データ改善効果ゼロ、

そこからつながるかもしれない疾病予防効果もゼロ

このレベルのことになると、啓発の仕方とか、指導の仕方とか、明らかにそういう問題ではないだろう

そもそも、啓発効果や指導効果に期待すべき種類のテーマなのかどうか・・・・・・・・・

その視点が、いわゆる専門バカには完全に抜け落ちているのである

こういうのは、人間の心理学や行動科学の領域である

そもそも生活習慣病になるかもしれないというような将来の漠然としたうっすらとしたリスクに対して

今目の前の生活習慣を見直すという重い行動に効果的に取り組むといったことに関して

啓発でどうにかしようとか、指導力でどうにかしようとか、

あるいは会社組織の権威権力に基づいた支配力によって患者に取り組みを無理強いしようとか

その思考回路自体が異常な狂気であるのではないのかというのを適切に判断できるだけの

「教養」というものが、医療従事者には完全に欠落しているのではないだろうか

病気と言うのはそもそも、遺伝子と環境の複雑な相互作用や交互作用によって形成されてくるものであるが

これは個人の生活習慣に関しても同じなのである・・・習慣というものにも遺伝子や環境は大きく影響している

さらにまた、その改善に関して努力できるかどうかそれ自体や個人の意思決定にも遺伝子と環境は大きく影響しているということは、近年の行動遺伝学の研究でだいぶ明らかになりつつある。

努力できるかどうかに影響するような「やる気」や「集中力」といったものに関しては、半分くらいは遺伝子の影響、半分くらいは環境影響によって決まっているという一定のエビデンスも既にある。

これだと、啓発効果や指導効果などといったものに過度に期待して、ゴリ押しで個人の健康管理に支配介入すること自体が、かなり誤った愚かな判断である可能性についても考えを巡らせたほうがいいだろう。

要するにバカなのである

そんなのまともに相手してたら、こっちの人生までかき乱されておかしくなる。

そしてその結果に関しては、誰も責任を負ったり保障するといったこともしない

いわゆる言ったら言いっぱなしのいい加減なものでしかないのである

そんなものに真面目に従う意味なんてあるのかどうか・・・・・・・

もし、仮に自分が医療従事者として取り組むとしたら何ができるかという小論文のテーマを考えると

あくまで自分自身は患者に対して支配的介入をするのではなく

患者本人の希望に基づいた医療に取り組むのが堅実な姿勢であるし

そのための手段は、効果のないものであろうとも、一般的に適用されているガイドラインに基づいて行動するしかない。効果がみとめられない医療でも、凡事を徹底するほかない。

効果的な方法なんて何も見出されていないし、自分独自でやみくもにオリジナルなことを患者を使って人体実験しても、個人的にその結果や影響効果に関して責任を負い保障できるようなものでもないからである