劇団四季「夢から醒めた夢」で現実を考える。 | 原元美紀 オフィシャルブログ 「原元美紀のミキペディア」 Powered by Ameba

劇団四季「夢から醒めた夢」で現実を考える。

劇団四季「夢から醒めた夢」を観劇。


赤川次郎氏原作で、

2人の女の子が入れ替わって・・・、

というから、軽いタッチのドタバタコメディーかと思いきや、
号泣しました。


観終わって写真撮った頃には、顔が泣き疲れていました。


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物語は、不思議大好き、好奇心旺盛の少女ピコが、

マコという女の子と友達になるところから始まります。


しかし、彼女は幽霊だったのです。


そして、

「一日だけ自分と入れ変わって欲しい。

必ず霊界に戻って、自分が天国に行くから」

とピコに頼みます。


マコの代わりにピコが霊界の空港へ行くと、

待合室は死者で溢れかえっていました。


彼らの行き先は、

生前の行いによって、天国行きと地獄行きに分かれています。


ピコになぜ自分が死んだのかを語ります。



いじめを苦に自殺した少年、

過労死したビジネスマン、

バイクで事故を起こした暴走族…、

彼らは生前に罪を犯したり、人を悲しませたりしたため、

天国行きのパスポートがもらえません。


空港で何年も働いて罪が洗い流されるのを待っています。



この日、天国に行けるのは、なんと子供たちでした。


この子たちは災害や戦争の犠牲となって死んだ子供たちなのです。


「地雷を踏んで死にました」

「のどが渇いて汚れた水を飲みました」


澄んだ声で悲しく歌う短い人生に涙が止まりません。


なぜなら、これは今も現実世界で起こっていることなんですよ。

決して『夢の中の出来事』ではないのです。


そして、マコ自身も悲しい死を迎えた女の子でした。


マコはほんとうにピコの元に戻って来てくれるでしょうか。

もし戻らなければ、代わりにピコが死んでしまいます。


天国に行ける死者も行けない死者も、

みなそれぞれに

「生きてるうちにこうすればよかった」と後悔や、

「これをしたかった」とやり残したことを忘れられません。

せめて『劇の中』だけでも、

心の中で、「絶対ハッピーエンドにしてください」と願っていました。


果たして、エンディングは、

ちゃんとみんなが納得するような慈愛に満ちたものでした。



泣いて泣いて、観終った後、

ただシンプルに「人に優しくしよう」と思いました。


これって、口にするのは簡単です。


でも、行動に移すには、気持ちだけでダメなのです。


どうしたら喜ばれるのか、
知恵を働かせなければ届かないのです。



私が現場リポーターになって、

事件事故などの被害者の方に接する度、何度も耳にした言葉。


「あの時、ただ一言謝ってくれれば」

「あの時私の気持ちに気づいてくれれば、・・・」


そう、事件や裁判を起こそうと思って日々過ごしている人はいません。


だけど、望んでいないのに巻き込まれてしまうのは、

あと一つ何かが満たされないからなんです。


「相手に気づいてもらいたい」、

「ほんの一言謝ってくれれば許したのに」、

という最初の気持ちが
誤解されたり他人が介入したりしてどんどん大ごとになって
取り返しがつかない結果を生んでいるのです。

大きなトラブルになる前に

気づいて防いであげられるように一人一人が心がけたら、

世の中の諍いなんてうんと減るのにといつも思うのです。



『夢物語』で終わらせず、

しっかりと目を開けて周りを見渡そう。


みんなが「生きていてよかった」と思えるように、

思いやりを持ちたい。



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