コロナに罹ってゴロゴロしている時に、戸棚の奥から引っ張り出して読み返しました。
私は、倉多江美さんが好きで著作をたくさん所蔵していますが、この作品は短編が多い彼女にしては珍しく全11巻からなる長編大作です。
舞台は、革命下のフランス、動乱の時代。
ジョゼフ・コティという片田舎の修道院付属学校の教師が主人公です。
彼は世の情勢を見極める天才で、ロベスピエールやナポレオンといった大物たちを手玉に取りながら、やがて政界にのし上がっていきます。
このマンガが連載されていたのは1980年代のまさにバブルの絶頂期で、当時は遠い異国の歴史ものとして読んだのですが、今、改めて読み返してみると、悪政に苦しむ庶民たちの生活の様子が現在の日本の状況に重なって、かなりの実感を伴います。
今も昔も、人々のやっていることに大差はないんだなと思うとともに、良い作品は何十年経っても色褪せないな~と感慨深く思うのでありました。