加藤シゲアキさんが新しい小説を出されました。
加藤シゲアキさんも好きな作家の1人であります。
新作小説を出される度にワクワクしてしまうのですが、数年前、本屋で加藤さんの作品を手にとりレジに向かおうとしたとき、頭の中にもやのかかった疑念が浮かんできたのです。
(果たして俺はこれでいいのか?) と。
僕は本を片手に立ち止まり、その場で考えました。
加藤シゲアキさんといえば、
言わずとしれたトップアイドル「NEWS」のメンバーで、
歌って踊れるイケメンな上、
文才まで兼ね備えた、
若くして富と名誉を手にしている完璧な男です。
一方の僕はといえば、
小学生時代から木村拓哉さんに憧れ、
一重まぶたなのにロン毛にするも、
運動神経が悪く少年野球チームでは補欠で、
エラーをする度に監督からいつも、
「お前はまず髪を切れ!!」
と怒鳴られてきた分際です。
仕上がりは木村拓哉さんとはほど遠く、試合中、対戦相手のチームから、
「向こうのベンチにサムソン・リーがいる。」
と噂された始末でした。
そう僕と加藤さんの輝かしい人生を比較し、僕の持っていないもの全てを手にしている成功者の作品を、高揚しながら手にしていることが惨めに感じられてきたのです。
僕は嫉妬から本を戻し、本屋を後にしました。
でも下を向いて歩きながら考えることは、
「読みたいな・・」
ということばかり。
とはいえ本屋に引き返すことなんてできない。
決して調和できない二つの感情が頭の中を駆け巡り、
ぐちゃぐちゃになった頭をなんとか抱えながら街をさまよい歩き、
それでも嫉妬の力で「読みたい」という思いを消し去ることはできず、
導き出した答えが、
図書館で借りて、本人に1円たりとも印税が入らないようにする!!
ということでした。
ざまあみろ!
これで加藤さんには印税が入らない!
どうだ!
「burn.-バーン-」だって、
渾身の短篇集だって全てだ!!
俺はあなたの作品が大好きだ!
でも今の俺から加藤さんにお金が流れることはどうしても納得ができない!
だから小説をタダで読んでやる!これから先もずっと!
新刊は予約待ちしないと読めないけど、
図書館の予約待ちシステムを利用して、44人の人が読み終わるまで数ヶ月待って絶対タダで読んでやる!!
本当は今すぐ読みたいんだけどな!
未熟者の僕は嫉妬との付き合い方が未だにわからず、一人暴れる毎日です。
でもいつか僕も人生を輝かせることができたとき、あなたの作品を全て買い揃えて家の本棚に並べることが夢なんです。
そして夢を叶えた後ご本人とお仕事でご一緒することができたら、
僕の悲しき時代のエピソード全てを直接ご本人にぶつけるので、
そのときは加藤さん、
優しく僕を抱きしめてくれ~!!
優しく・・
そっと優しく・・。