「馬たちはこの子猫にありがとうと言っているのではないかと思った。」私のお話
大学時代,馬術部にいた。
二年生の時、すこし余裕が出てきて下級生もいて世話をすることもあって馬の健康管理にも、こうするとか説明なんかしていた時、
ふと飼料庫にネズミの糞が毎日たまってしまっていることに気がついて何とかしなければと考えていた時、
大学構内にダンボールが木立に囲まれた草むらの中においてあって。中に2匹の仔猫が入っていた。
ふとネズミのことを思い出して下級生の女の子と一緒に厩舎に持っていこうと決意し電車で箱ごと厩舎までもっていった。
それまで厩舎では、3時ごろつくと近くにする外人の子友達がネズミー大きなドブネズミをフォークをもって追いかけていたっけ。
でも人間のフォークに仕留められるほどののんびりネズミはいない。
代わりに馬たちが驚いてばかりで困っていた。
一匹は白が多い白黒ブチでシロと名付け、もう一匹は体が少し小さい臆病そうなキジトラでちびと名付けた
小さいころ家に猫が短い期間にいた。餌は猫まんま。あんまりおいしそうにご飯を食べる姿は見たことがなかった。
時には餌が腐っていたのか餌を吐き出す姿を見たこともあったので、今度猫を飼うときが生肉で!と決めていた
餌は毎日途中の肉屋さんで買ったレバーだけ。小さく切ってもらって食べやすいようにしてもらった。
食べるときは丸のみ、少し大きいとワウワウと声を出しながら夢中で食べる姿が無邪気で・・・
人間が寝泊まりする部屋はあるが野生の猫のようになってもらいたかったのでいつも部屋に入ることを拒否し
飼料庫のそばで勤務するように命じた。
ネズミより小さな仔猫。ネズミに食べられてしまわないか心配したけど。
その日を境にすっかい飼料庫の中にネズミの糞は見つからなくなった。
部員たちは猫を抱っこしてかわいがっていたけど私は置物のような猫になってほしくないとあんまり触れなかった。
でも
3時ごろ厩舎につくと二匹の弾丸が飛んできて肩の上の上ってぐるぐると耳元で鳴く。
猫ってかわいい!って思った瞬間。
2か月ほどたって少し大きくなったころ
猫を馬にもならそうと思って馬のところに抱えて連れて行ったら、あまりに大きな馬の頭で猫はおびえるばかり
でも馬の表情は穏やか。馬は新聞紙でも恐怖を感じて目に緊張感を表す動物だけど・・
翌日馬の馬房の中に置いてみた
馬がさっそく鼻を近づけて来る。
子猫は巨大な動物の顔が来たと思って臨戦態勢。シャー
ここからが今日言いたいことだけど
こんなことはだれにも今まで話した事はなかったので初めて人に話す事になるけど・・
この時の馬の表情がなんとも親しげなやさしい表情に満ちていた事を思い出す。
ネズミの糞はかなり臭い。取り除いてもにおいが残っていたのだろう。馬はにおいに敏感。
きっと馬たちは子猫たちが来てから、えさのにおいが変わったことを感じていたのではないか?
馬たちはこの子猫にありがとうと言っているのではないかと思った。