先回、書いたように、23日の午後は韓国児童図書専門店を訪問してきました。


韓国では幼児、児童向けの本に「全集もの」が多いのが特徴です。

日本でも、私たちの小さい頃、「世界名作全集」とか「子ども百科事典セット」とか流行っていて、そのうちの幾つかが我が家にもあったことを記憶していますが、韓国では私が韓国に来た1990年代から今にいたるまで、一貫して「全集もの」が販売され、売れているようです。

全集ものの販売は、さまざまな形態があり、一つは、韓国モンテソリ、ウンジン・ドットコム、ハンソル、フレーベル、キョウウォンなどの大手企業の訪問販売によるもの。これらの企業から出ている本は、日本をはじめ海外からの輸入ものも多く、質も良いものが多いですが、それだけに高価という特徴を持ちます。

近年は、韓国の不況も影響して、全集ものの価格が以前よりも全体的に下がったような気がしますが、それでも30~50冊ぐらいで、30万ウォン~60万ウォン代(現在のレートで、22,000円~44,000円)と、庶民には決して安い買い物ではありません。…①

もう一つは、上記のような大手有名企業よりは小さい企業による全集もので、有名企業ものより価格は少し下がりますが、その分、絵本の質も多少落ちるという感じがあることはあります。…②

この②の全集ものは、訪問販売によることもあれば、店頭販売、さらにはインターネット販売も行われています。ちなみに、①の全集ものは、認定された販売員によってしか絶対に販売されません。従って、ディスカウントもいっさいありませんが、②になると、業者によって多少のバラつきがあり、消費者は「どこが一番安く売っているか」と、ネットの価格比較や人を通しての情報をフルに集めて、安いところから買おうとしたりします。

実際、価格の安さでいえば、ネットの安さにはかなわないでしょう。しかし、「本」というのは、実際に手に取って本の中を見てみないことには、そのよさが分からないという特徴があります。全集ものになれば、特にそうですよね。

それで、以前は、ソウルだと東大門市場の中の平和市場周辺に多数存在していた「本市場」を歩き回って中身を確認し、(市場では本を直接、見せてくれたので)価格も比較しながら本を購入したものですが、ネットの普及によりこれらの「本市場」が姿を消してしまいました。

そういうわけで、現在、本を実際に手にとってみることができて、しかも手ごろな価格で購入する手段として理想的なのは、町にある「어린이도서/オリニトソ/児童図書)販売店ということになるだろうと思います。

これらの書店は、ほぼ各洞内(동내/ドンネ/町内)にあり、価格も協定があるため、多少の違いはあってもほぼ似たような価格で本が販売されています。

多くの書店が、すでに子どもたちが読み終えたとか、購入はしたものの子どもたちが読まなかったなどの理由で自宅に積まれている全集物を「中古」として引き取ってくれ、それと交換で新しい全集物を提供してくれるというサービスを行っています。

たとえば、自宅に積まれている全集物が、中古で10万ウォンの買取価値があるとお店が判断したとします。新しく購入したい全集ものが30万ウォンだとすれば、残りの20万ウォンだけを現金かクレジットカードで支払うという形なのですが、これはけっこう便利なサービスで、私自身もそうですが、周囲の日本人ママたちも利用している人たちがけっこういます。

そして、先ほど、①に比べると質が多少落ちることもある、と書きましたが、中には②系統の中で、日本の福音館やチャイルドアップル社と契約して、良質の絵本をセットで出しているものもあり、必ずしも①の有名企業系でなくても、「探せば安価でよいものはある」という感じがしています。

ところで、なぜ韓国では全集物が流行るのかという問題ですが、これは韓国人がとにかく「大きいもの」とか「たくさんのもの」が好き!という性質によるようです。(^_^.)

そのセットの冊数たるや、なにせほとんが40~70冊程度。まあ、世界名作とか偉人伝とか、そういった類のものなら冊数が多くてもいいかと思いますが、「韓国の昔話」だけで50冊ぐらいあると、「ちょっと、そこまでなくてもいいでしょ~!」と思ってしまいますよね。

「ミッフィー」とか「バーバパパ」、「ピーターラビット」などのキャラクターものも、確かにファンとかマニアがコレクションにするにはいいでしょうが、70冊とか100冊って多すぎ!((>д<))

でも、韓国人って何か「たくさんあること」に安心するみたいです。これはきっと、勉強も「何時間机に向かっていた」とか「問題集を何ページ解いた」とかいうことで安心する傾向と通じるものがあるんじゃないかと思うんですが…。

もともと子どもには「いいもの」を「たくさん」与えたいという思いがすごく強いですよね。それに比べると私たち日本人は、「いいものを選んで」一つずつとか、少しずつ与えようとする傾向が強いです。

そんなわけで、韓国人のお宅に行くと、「創作絵本セット」からはじまって、「韓国昔話」、「偉人伝」、「三国遺事」、「科学絵本」、「韓国の歴史」、「英語絵本」、「百科事典」などの全集物が本棚にズラッ!!!という光景が普通です。

ま、でも、「本がある」という環境は、子どもにはとても重要なことだとは思うんですよね。たとえ、子どもがそれらの本をあまり読まなかったとしても、無意識に目に入ってくる環境に「常に本がたくさんあった」というのは、潜在的に子どもに本を好きにさせる効果があるのではないか、と思うんです。

これらの全集ものは中古での売買も盛んで、現在は主にネットの中古販売サイトで購入する人が多いようです。中古の価格は、出版年度、本の状態などによってそれぞれです。運がいいと、新品同様の掘り出し物をかなりの安価で購入することも可能ですが、それを探すためにかける時間や手間を考えると、あまり「安さ」にこだわることも意味がないのでは、と個人的には思っています。


さて、以下の紹介するのは、私の行きつけの児童図書専門店。

私が住んでいる町内で数年間、商売をなさっていたのが、今年の秋にソウルの九老区という、我が家からは電車とバスで1時間ぐらいの所に引っ越されてしまったのですが、長い間お世話になっているため、本の情報収集はこちらからしています。

社長さんがとてもよい方で、私たち多文化家庭(韓国では、国際結婚した家庭や、外国人家庭をこのように呼びます)に対する支援精神も旺盛で、日本人ママさんたちには子どもたちの年齢に合った本をたくさんサービスで下さるなど、いつもよくしてくださいます。

今回は、引越し後に初めて挨拶&最近の本の情報収集に行ってきました。本の情報については、次の記事でまた紹介します。

とりあえず、お店を紹介しておきます。とにかく、多量の全集物を直接、手に取ってみることが可能ですので、お子さんを一緒に連れて行って、お子さんが気に入るかどうかを試してみるというのもいいですよね。


ソウルの教育ママ

ソウルの教育ママ

ソウルの教育ママ

ソウルの教育ママ
こちらが社長さんです。



◇어린이도서전집 할인매장
 (オリニトソ・ジョンジプ・ハリンメジャン/児童図書全集・割引売店)
 児童図書全集・ディスカウント販売点
  Tel:02-703-3709 HP:011-667-0215
  ★地下鉄1号線 開峰(개봉/ケボン)駅下車
   北出口よりマウルバス2番(開峰中学校行き)乗車
    →작은 글다리(チャグン・クルタリ)下車


この日は、新しく出た全集ものの写真を撮って、説明を聞くので結局、4時間ぐらいかかってしまいました。それでは、次から紹介しますね~!(まき)