メレンゲを使うお菓子のレシピに、

古い卵白を使う、と書かれているのをたまに見かけるが、その理由が説明されているのは見た事がない。

卵白を使い分けるのには、理由がある。 


卵白には、水様卵白と濃厚卵白がある。

目玉焼きを作るために、フライパンの上で卵を割った時、
黄身の周りでぷくっと盛り上がっている白身部分が濃厚卵白。
でれれ〜っと広がって行くのが水様卵白。

卵は古くなると、濃厚卵白が水様卵白に変化していく。

濃厚卵白はコシがあってしっかりしているが、
水様卵白はコシがない。

メレンゲを立てたとき、
泡立ちやすいのは水様卵白だけど、気泡の状態は不安定で潰れやすい。

一方、濃厚卵白は泡立ちにくいけど、気泡の状態はしっかり安定していて弾力もあり潰れにくい。


例えるならば、
水で薄めた薄い洗剤と原液に近い濃い洗剤だ。

水で薄めた薄い洗剤はすぐに泡立つが、泡の大きさはマチマチで不安定、水で流すと泡は簡単に壊れる

一方、原液に近い濃い洗剤は、簡単には泡立たないけど、出来る泡は安定した濃密な泡で、弾力があり、水で流すと泡の塊のまま流れていく。

 
お菓子を作るとき、古い卵白が良いというのは
水様卵白が多くて泡立ちが良いから。
これは水で薄めた洗剤と同じ。
不安定で潰れやすくもあるので、
メレンゲの骨格を為す砂糖が多量に必要となる。
(古い卵白のメレンゲは、お砂糖で気泡の骨格は作れるけど、弾力はありません)


例えば
マカロンに使うメレンゲ少し古い方が適する、といわれる その理由は、
マカロン生地を作る工程の中で、メレンゲを潰す作業をするからだ(マカロナージュのこと)。

つまり、
泡立ちが良く潰れやすいけど、潰れすぎを防ぐための砂糖はたくさん入れるので、マカロナージュするマカロン生地に適しているということになる。




新鮮な卵白が適したものとしては、スポンジ生地。
特に
卵黄と卵白を別々に立てて、あとで合わせる
別立て生地は新しい卵が適している。

新鮮な卵白で作ったメレンゲは弾力があり、
気泡ひとつひとつがしっかりしているので、
焼成前の生地を少々荒っぽく扱っても
泡は潰れず、その結果として、焼き縮みしにくい
フワッとした生地に焼き上がるある。

シフォン生地(シフォンケーキ)は、新しい卵を使って焼くと、古い卵を使った時よりふわっと、かさ高く焼き上がる。