（1）私は来年度で廃業する予定
最初に言っておくが、ケアマネという仕事は決して悪いものではない。自分なりに考えれば、要介護になり経験した事の無い難題を突き付けられ、不安に駆られている高齢者やその家族を支援するという事は、希望の灯を照らす役割とも言える。
振り返ってみれば、多くの利用者や家族に接してきた。中には上手くいかなかったケースもあるが、自分自身で評価すれば、概ね納得のいく仕事だったと思う。
しかし辞めたいと思う時が無いわけでは無い。というより来年度いっぱいで廃業予定であることはこのブログでも度々書いた。その理由は居宅介護支援事業所の管理者要件として主任ケアマネが必須となるからである。
本当にやる気に満ち溢れていれば、この資格さえ取れば続けられる。むしろそうした方が本当は良いのだろう。しかしそう思わない理由を縷々述べていきたい。
（2）仕事以外の事を無料で協力させられる仕組み
まず第一に主任ケアマネが居宅介護支援事業所の管理者として必ず必要なものか？という疑問である。
ハッキリ言えば、ケアマネの育成と事業所の管理者業務はイコールではない。特に私のように一人で事業所を運営し、他に雇う気が無い事業所にとっては別にいらないものである。
それに主任ケアマネの役割は他にもいろいろある。
講習やケアプランチェックのファシリテーター、地域包括支援センターでの集まり。今は推薦要件には無くなったが、以前は「苦の事業に積極的に協力する事」を誓約させられる、いわば「行政の犬」に成り下がるものだ。
そういう事自体にどれだけ意味があるのか分からないが、そもそもケアマネの仕事は対利用者であり、対家族である。地域課題の解決やその他は業務外である。そういう業務外の仕事を無給で押し付けようとするやり方というのは、以下にケアマネが軽く見られているかという証拠だろうと思う。
（3）報われない場面も多いから
そもそも福祉の仕事は開発業務のように何かを開発して世に広め、世の中が便利になって、それがゆえにお金が儲かり、という成長型の仕事ではない。
様々な見方はあるが、福祉の仕事の多くは人がやりたがらない仕事を何とかこなす仕事である。
だから単純な話、儲かる仕事ではない。福祉業界に財閥系、銀行、商社、外資などの大手が参入していないことからも明らかである。
では、福祉の仕事をする原動力といえば何かと言えば、人を助けることで世の中に貢献したいという、つまりは精神論、気持ちの問題が多い。
「情けは人の為ならず」という言葉がある。「人に情けをかけることは、その人のためだけでなく、いずれは自分に返ってくるのだから、誰にでも親切にすべきだ」という教えである。
だからこそ、ケアマネを含む介護職員へのつまらない「質の向上の義務」という答えの無い押し付けで研修や資格取得を強いられる事に呆れ、嫌気がさすという事は日常茶飯事だ。
そもそも利用者や家族がみんな聞き分けの良い人ばかりではない。怒鳴られ、嫌みを言われ、歯を食いしばりながらなんとか業務を遂行しても、ちょっと書類が無いだけでその仕事の報酬が無くなるという運営指導のやり方に頭に来る人も多いだろう。
人の役に立ちたいという気持ちが強い分、報われない事が多くなれば心が折れる。そりゃ、どんな人も辞めたくなる場面はあると思う。