利用者が被る不利益の責任をケアマネが負う必要はない | ケアマネ時々卓球、時々その他

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仕事は介護、プライベートでは卓球を中心に、その他もろもろ思いつくままに書いてみます。テキトーな独り言です。

 

(1)措置制度の頃

介護保険が施行される前の制度は「措置制度」という制度である。これは行政措置という事で、利用申し込みは自治体に申請し、行政命令で施設やサービスが決まるというものである。

 

そこでの費用は、利用者や同世帯の家族が支払うことの出来る金額を徴収される、いわゆる「応能負担」という仕組みを取っていた。

 

措置とは「特定の目的を達成するために行われる行動や手段」であり、行政措置というのは行政がその目標を達成するために講ずるものである。つまりそれまでの福祉は、あくまで行政が利用者の生活や身体を守るという目標に対しての行為という事になる。

 

その問題は次の記すこととする。

 

(2)措置制度の問題

措置制度の頃、私は養護老人ホームで働いていた。そこでよく言われていたのが「あの人は私よりも職員が面倒を見てくれる」というクレーム。

利用者にすればその通りなのだろうと思う。例えば生活保護の人はお金は一切かからないが、少なくても年金をもらっている人はいくらかの費用負担がある。お金を払っている私は放っておかれて、お金を払っていない人に職員が目をかけているとなれば、不満が起こるというのも理解は出来る。

 

また利用者の中には「役所がここに入れというから」入所したという人も少なくない。

措置制度においては施設を選べないわけでは無いが、断ると次の順番がなかなか回ってこないという事があったのか、施設に入るように説得されて来た人は少なくない。

 

この二点は措置制度の課題として、介護保険制度に影響を与えたと思う。

 

それが「受益負担」といい、受けたサービスの分だけ費用を支払うという仕組み。更には特養でも、申請書に希望施設をチェックできるし、希望が無い場合や他県でも良いという場合はそれも可能となっている。

 

介護保険はそういう課題をクリアして施行される制度のはずだった。

 

(3)不都合をケアマネが負わない事

だから最初は一律に「1割負担」だった。しかし時がたつにつれ、収入の多い人は「2割負担」にあんり、更に今では一部の人が「3割負担」である。

 

やはり制度設計の見通しが甘かったのか、高齢化のスピードや介護のニーズの高まりで、サービス量が予想外に増えたのかだが、「応能負担」を一部取り入れることになった。

 

これも今ではクレームの種にはなっている。

 

そしてこれからはその「2割負担」の枠は広がるだろうと思う。

 

介護の費用が高いから、サービスの利用を控えるという事はあるだろうし、それで不都合を被るのは本人や家族だから、本当に必要ならいくら高くても費用を払うだろうし、と今は思う。

 

おそらく「ニーズとディマンドの違い」というものはこれから顕著になるだろうし、それにより被る不都合の責任をケアマネが負わない事が大事だろうと思う。