ざっくりした事案は,以下のとおり。

 

 

 

Y社が求人票に「無期」雇用として募集

Xが応募して,X採用決定

Y社「やっぱり「有期」雇用ね。これに署名押印して」

Xが署名押印

Xが,求人票に「無期」って書いてあっから「無期」雇用だとして訴訟提起

 

 

 

通常の契約の場合,署名押印があれば,だいたいその書面のとおりの契約の成立が認められる。でも,労働契約の場合は別。

労働条件の変更する際は,合理的な理由が必要,つまり変更を納得するだけのバックグラウンドが必要。労働者に不利益な変更だと通常は断りたいだろうし,逆らいにくい立場だから。

単に,変更後の労働条件の記載があるだけでは不十分で,内容を丁寧に説明したことが分かる書面を残しておくことが必要。

 

 

本件では,丁寧に説明もしていたけど,それでも不十分とされた事案。

 

 

なぜ条件が変更になったのか,その理由も説明することが必要。

Xは既に前の会社を退職していたので,よりXは断りづらい状況だったから。

 

 

求人詐欺といわれるものを救済しようとしたものかもしれないけど,会社側にとっては厳しめの判断。

どうしても労働条件を引き下げる事態になってしまうことはある。給与を下げたり,賞与を削減したり。その苦しいときに,追いうちのように裁判で請求されると致命傷になる。

 

 

 

労働条件を変更する場合は,その時期にも注意したうえで,内容の丁寧な説明や,変更になった理由も分かりやすく書面に残しておくことが必要。