「蓮、お前を切った理由わかったよ。

今日夜空いているか?飲みながら話さないか?」

 

今すぐこの電話で知りたかったけど、

 

もっと彼から学びたい、

色々聞きたい

という衝動の方が大きかったので

彼の言う通り、いつもの居酒屋で落ち合う約束をした。

 

「蓮、今から言う事で、自分を絶対責めるなよ。

俺だって最初は3か月も持てばいい方だったんだ。

蓮には家庭教師の経験がない。

だから蓮が悪いわけじゃないんだ。

だから約束してくれるか?」

 

そう切り出されたとき、

心臓が口から出そうなほど緊張した。

 

彼は、ジョッキのビールを一気に飲み干すと、丁寧に話してくれた。

 

「蓮、あの2人の勉強に対する姿勢について、どう映った?」

 

「う~ん。お前の言う通り、

勉強に対する姿勢は前向きだったし、

成績もかなり良かった。むしろ、なぜ

家庭教師が必要なのかわからなかったくらいだよ」

  

そう答えると、彼はうなずきながら、

「蓮、彼らは勉強を教えてほしかったわけじゃないんだ」

 

「電話でも言ってたけど、どういうこと?」

 

「蓮、よく考えてみろ、

俺たちが彼らに勉強を見てあげられるのは、

1週間でたった2時間。

1か月に直しても、8時間。

それで、どうやって成績をあげる?

どうすれば苦手科目を克服できる?」

 

 「確かに…。

でもわからない事を教えてあげるのが家庭教師の役目だろ?

やっぱり俺の教え方が悪かったんだろう。

あの2人はそれをずっと言えなかったんだろう。

そんなつらい思いをさせて、申し訳なかったな…。」

 

 「蓮、それは違う。彼らは、

“成績の上がる勉強の仕方”

“志望校に合格するための勉強の仕方”

を教えてほしかったんだ」

 

 中編に続く