山の緑と海の青 四国の木造駅舎を巡る旅

予讃線 下灘駅で戯れる

本四備讃線で四国に渡る

眼下に広がる瀬戸内海は青くて穏やか

車窓から海岸線を見ることは多いけれど

海の上を越える旅は そうそう経験出来無い

いや 「関西空港連絡橋」を入れてもいいなら近所にあったっけ…

 

過去には国鉄型気動車が多く見られた四国も

民営化後はメンテナンスの問題でステンレス製の車両が多数になった

そりゃ 海沿いに線路があれば 鋼製車体は錆びるか…

私は鋼製車体のほうが「色気」があって好きだけど

仕方ないよね

 

 四国で旅行先といえば

こんぴらさんか道後温泉が真っ先に思い浮かぶが

「てっちゃん」の旅だと 松山を通り過ぎて 大抵はこの駅にたどり着く

以来 多くのメディアに取り上げられ

メジャーな駅となったこの駅は 今でも懐かしい佇まいを見せてくれる

下灘駅の駅舎内からホームを望む

海の青

空の青

天候は運次第だが この駅の持つロケーションは魅力的

 

実際 どうだろう

「てっちゃん」的に 四国の名駅となると

「下灘」か「坪尻」に票が入るのかな?

「坪尻」は距離的には近いけれど 運転本数を考えると まさに秘境駅

アプローチのしやすさで言えば 「下灘」のほうが行きやすいかな?

画像は2010年頃の下灘駅舎

 

木造駅舎を巡る旅を始めて いろいろ覚えたことも多い

ネットで「小停車場本屋標準図」を検索するとわかるけど

もともと国鉄の駅には こうした駅を作るときの設計図があるらしい

駅の規模や地域性を考慮して 五種類ほどの基本設計があって

それを元に駅舎を建てたらしい

なるほど

個性ある木造駅舎達にいくつか共通点が見られるのはこの為なんだ

ト○ックス社の木造駅舎セットの駅に良く似ていると思ったが

根本には「国鉄の小型駅はこう作れという」設計図があるからなのかも

 

下灘駅は簡素な瓦葺の切妻屋根を持ち

壁面は一般的な下見板張構造

リニューアルされた駅舎に見られるように 窓はアルミのユニットサッシになっている

本屋前には広場が無くて 直接アスファルト張りの道路に面している分

「坪尻」程のインパクトは無い

その点では近江鉄道の「鳥居本」もそうで 本屋自体の魅力が少し削られてる気がする

さてさて

そんな駅舎を抜けて ホームを望むと

そこには変わらずの風景が残っている

本当に天候次第だけど…

駅舎本体を「本屋」と言うように

これは「ホーム上屋」と言うらしい

下灘の場合 屋根を支える柱が中央に一本なので「傘型上屋」という

確かにタテに見ると「傘」である

 

寄り添う線路は海側に1線だけだけど

ホームには両側に白色破線が有り

もともとは両面に線路を持つ駅構造だったとわかる

また駅舎のある側にも破線がある

詳細はWikipedia等を見て頂くとして 一時期は終着駅となっていた為だそう

海沿いに わずかなカーブを描くホーム

是非 このホームのベンチで海を眺めてほしい

缶コーヒーなど飲みながら…

 

ところで

行った事のある人は知っている事だけど

実は線路の向こう 斜面下には国道が通っている

遠い昔は無かったらしいが…

ドラマや画像だけでこの駅を見ていると

「潮騒の駅」

思えるけど…

実際にはトラックがバンバン走る

「道路沿いの駅」である

なので

画面から道路をカットすると

ローアングルか海が入らない絵になる

それはそれ 好みでは有るけど

案外

ファインダーを覗くと 決まったポジションでしか撮影できない駅である

駅からちょっと離れた所で 海と線路を撮る

これも実は帰ってから見ると左端に建物が見切れている

よくある「あとでがっかり」パターン

 写真て難しいなぁ…

 

ちなみに

坪尻よりは行きやすいとはいえ 「行き」よりは「帰りの足」と「宿」を考えておかないと

夕焼けを撮影した頃には 四国で立ち往生する事になる

時間に正確な日本の鉄道とはいえ

常にダイヤ通りに列車が動くとは考えないようにしましょう

そんなハプニング込みで 旅は楽しむものだけど

 

四国への旅行は常に「帰りの時間」を重視する事をお勧めします