本棚を整理していたら、ドイツ語の本が出てきた。マルクスの資本主義…。
あらっ…、こ、こんな本が。
えっと…。
本棚に押し込んでいた。たまに出てくるねん。
学生の時の、第ニ外国語はドイツ語を履修していた。あんまり深い意味はなく。祖父がドイツ語の専門やったから…という、ごっついしょうもない理由で。
1年目は楽勝やってんけど、2年目の先生が、かなり…強烈な先生で。教材が、マルクスの資本主義やった。声もデカイ先生で、見た感じもかなり迫力のある人やったわ。それもそのはずで、安保闘争の時に、鉄棒持って、走り回ってたらしいから。
質問があって、質問したら、後で部屋まで来いと言われた。仕方がないから行ったら、一人宴会してはったわ。
マルクスはどうや?とごっついすごんで聞かれて、興味がないから、全然オモロないと言うたら、なんやそれ…と言われてお酒を飲めと言われて。
一緒に宴会するハメに。
次の授業は何や?と聞かれたから言うたら、アイツの授業か!!と言うた瞬間、その先生が部屋に来たから、今から授業に行きます〜って逃げるチャンスを得たと思ったら…
いや、ええわ。俺の授業が終わるまで、暴れんようにそいつの話し相手しといて〜。出席にしとくからって。
なんやそれ…
マルクスがくだらないのに、なんでドイツ語を履修したんやと聞かれたから、祖父がドイツ語専門やからという、とってもくだらない理由って言うて、先生と同じ大学の出身やで…と何気に言うたら…
俺の大先輩なのかー!???
と、いきなり興奮しはって。なんか、鉄棒持って走り回ってた熱い人やから、縦のつながりを気にするのか、知らんけど。それ以来、やたらと誘われて、難しい訳のわからん話を聞かされたわ。部屋に来た先生も、実は親友らしくて、一緒の事がよくあって…
君はどう思う?
と、いつも二人から意見を迫られて、なんも思いません…さっぱり分かりません…と言うたら…
正直でよろしい!
とか言われて。二人の酔っぱらいのおっさんらは、喧嘩しながら議論してはったわ。ただ、この人ら、こんなんやけど。
親友の方の先生は、そのスジでは有名な人やったたみたい。私は知らんかったけど…。旅行でちょっとモスクワへ行った時に、モスクワ大学から少しだけでいいから、講演してくれと頼まれるような人らしいから。
知らなかったのは、良かったわ。そのへんの、酔っぱらいのおっさんにしか、私には見えへんかったし。
マルクスの本が出てくるたびに思い出します…。この教授達を…。
