医者の心。 | 日本に伝わる生き方のヒント

日本に伝わる生き方のヒント

新たな時代を迎えた日本。
SNS、AI、ネット社会…
どう生きればいいか分からなくなっている時代。
先人が日本文化に秘めた生きるヒントを、一緒に紐解いていきましょう。♪

江戸時代に心の学問を教えていた
石田梅岩(ばいがん)は



『都鄙問答(とひもんどう)』
医の志を問うの段で、




段々ヒートアップしているのを
感じられる部分がある。





息子を医者にしたいという親が
梅岩に心構えを聞きに来た。





「博学の名医というのは
医学の事だけに精通していればよいという事か?



しかし医学以外の知識がないと
信頼されないのでは?
詩や文章も含め博学の方がいいのでは」





それに対して梅岩は




「学識を博くするのは私も賛成だ。」

  


としながらも、
段々と弁が熱を帯びてくる。





孔子の言葉を引き合いに出し、
こうバッサリ。






「『辞は達するのみ』とは、




『言葉は通じることが重要』という事だ。





「こちらのいうことが相手に正しく伝われば
それで目的を達したことになるが、




伝わらなければ
正しく伝わるまで言う必要がある」
という意味だ。




話をしても
わけのわからないことを言うのは、




狂人だ。




どうやって狂人を治療できるというのか。」







理論家で仁の心に厚く
災害時の炊き出しに行く様な梅岩が、




非常に強い
『狂人』という言葉を使っている。




それほどの何かがあったのだろう。



都鄙問答は梅岩の弟子達も編纂に関わっている、
今で言う対談本。




カットする事もできただろうが、
敢えて使った所に
  



厳しく"狂人"を諌める一門の心を読み取れる。