普通のハピエンではないのでご了承ください。
妄想、BL(O×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。











《side  N》

俺が預けられた山風新聞は1階が印刷所とリビング、2階が居住空間となっていて、おやっさん、おかみさんとその娘の美幸さんの他に8人が共同生活をしていた。

俺は智也さんと同じ部屋で生活することになり、その部屋は剛くん、風磨、翔ちゃんの3人も一緒だった。
3人ともいろんな事情で家がない、又は家に帰れず、やむなく盗みに手を染めたり未成年は働けないような店でこっそり働いてるのを城島さんに引き抜かれて来たそうだ。

みんな援助してもらって学校に行き、ちゃんとしたバイトをしながら勉強してお金や恩を少しずつ城島さんに返してるらしい。
俺はそこで初めて盗まずちゃんとお金を稼ぐってことを覚えた。

といっても16歳になる年まではお店でバイトするのは無理だから、美幸さんがご飯を作るのを手伝ってお駄賃をもらったり、雨の日に新聞をビニール袋に入れるのを手伝ってお駄賃をもらったり。

他人の財布から盗ってた頃より全然少ない額だけど、誰かに必要とされる、誰かの役に立てるってことが嬉しかった。
美幸さんに習ってるうちに料理の腕も上達して、みんなに「美味しい」って言われるのも嬉しくてさらに積極的に手伝った。

智也さんは忙しくて夜遅くに帰ってくることも多かったし、早くても自分の勉強で精一杯だったから、俺には剛くんや風磨、翔ちゃんが勉強を教えてくれた。
みんな年上だけど優しくて「翔ちゃんって呼んでよ」とか「呼び捨てでいいぜ」とかって言ってくれる。

しかもみんな教え方も上手で、俺はすぐに周りの同年代の子と同じくらいであろうレベルになり、そしてそれを追い越した(って翔ちゃん達は言ってる)。

だから学校に行っても周りに遅れをとるってことはないんだけど、城島さんが調べてくれたところではやっぱり母さんは出生届を出してなくて俺には戸籍がなかったから、そのまま家で勉強し、16歳になる年から城島組の系列のお店で働かせてもらうことにした。
病院にも行けないからそれも城島組の闇医者(渡海先生)にお世話になる。

その頃には智也さんも研修医から立派な医者になってこっそり渡海先生を手伝ってたし、翔ちゃんは弁護士に、剛くんは画家、風磨は広告会社の社員とそれぞれの道を確立してた。

たぶん他の無戸籍の人は相当な苦労をしてるんだろうけど、城島さんに拾ってもらったおかげで俺は人並みの生活を送れていた。