“ととのう”食事
お盆の間、ご飯とみそ汁を食べてなかった。
外食したり、飲みすぎたり、食べすぎたり。
したがって、体調もいまいち。
昨夜の献立は、豚汁と玄米。
一杯の汁の中に必要な栄養素がほぼ含まれている豚汁と
ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な玄米。
シンプルだが、最強の献立だ。
この食事を3日ほど続ければ、腸内環境がすこぶる良くなる。
わが家の“ととのう”食事である。
娘が食事をしながら、ぽつりとつぶやいた。
「友達の彼氏が亡くなったんよ」
「そうか・・・若いのに・・」
その後の言葉が見つからなかった。
愛する人が亡くなったときの悲しみは、言葉では表せない。
僕は、しばらくの間、妻の死を受け入れることができなかった。
「途方に暮れる、とはこういうことなんだ」と思った。
娘の友人も、今はそうかもしれない。
想像するだけで、胸が苦しくなる。
娘も彼女の悲しみが分かるのだろう。目に涙を浮かべていた。
妻千恵は25歳で乳がんを発症した。
娘もあと5年で同じ年齢になる。
がんの遺伝子を受け継いでいる可能性は否定できない。
「そろそろ、はなも乳がん検診を考えていい年齢かもね」
「うん、検査も大事だけど、予防も忘れたらいかんよね」
娘がママと交わした約束は、「ちゃんと作って、ちゃんと食べる」。
僕たちは、豚汁と玄米をよく噛みしめて食べた。
大切なことを思い出させてくれた友達の彼氏のご冥福を祈りながら。
この日の豚汁は、ちょっと、しょっぱい味がした。