君の胸に誓いのエメラルドを

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君の胸に誓いのエメラルドを

[著]宇佐川ゆかり [イラスト]花岡美莉

 

オルレア王国王太子:レイナルフ

メルガルド王国王女:セシリー(18)

 

○あらすじ

セシリーは、正妃の産んだ王女でありながら、側室のヴェネットを寵愛する父王に疎まれ、母と共に修道院で暮らしていた。

自分を一切顧みない父王を恨みながら母は病気によって他界したが、セシリーが城に戻ることはなかった。

 

そんなセシリーの元に大国オルレアからの騎士たちがやってきた。そこにはオルレアの王太子レイナルフがいて、側室が産んだ義妹ミシュリアとオルレア国王との結婚の話を聞いた。

 

ところが、父王と変わらない年齢の王との結婚を嫌がったミシュリアが、護衛の騎士をたぶらかして国宝のエメラルドを持って、逃げだしてしまった。その代わりにと、次の結婚をセシリーに求めてきたのだった。

 

ミシュリアの愚かな行動を聞いたセシリーは、たとえ冷遇されていたとしても王女の義務として同行することを決めた。

ところが、オルレアについてみれば、国王は急病にてすでに亡くなっていて、代わりに王位を継いだレイナルフとの結婚が決まってしまったのだった。

 

国のため、義務として結婚を意識しようとするセシリーだったが、レイナルフへの愛を自覚し、その愛に恐怖していた。愛しても愛されず寂しい最期を迎えた母と同じ道は歩みたくなかったからだ。

 

レイナルフは、父王とミシュリア王女との婚姻には反対だった。それでも、政略的にも必要だったためにミシュリアを迎えるはずだったのだが、そのミシュリアが愚かにも逃亡してしまった。そしてその後釜に父王は姉のセシリーを指名した。迎えに今度はレイナルフも同行することになったが、側室に夢中になり、正妃と王女を冷遇するメルガルド王に、政略結婚を逃げ出す王女。それを思えばセシリー王女にも期待はしていなかった。

 

ところが、セシリーはいい意味でレイナルフの予想を裏切ってくれた。忍耐力、気配り、気品、そして寛容な心。一目見たときから気になっていたレイナルフだったが、旅の間惹かれていく心にまずいと感じていた。しかし、国に帰れば父王が亡くなっていて、レイナレフの心が動く。

 

セシリーが無理矢理引っ張り出され、修道院に帰りたがっているのはわかっていたが、政略とは関係なしに自分のものにしたいという欲望が勝ってしまったのだった。

 

しかし結婚式を終えたレイナルフのもとに、「護衛の騎士に浚われた」のだと主張するミシュリアが、エメラルド共にやってきたのだ。

ミシュリアはレイナルフに城への滞在を望み、セシリーには自分の物を取り戻すのだと言ったのだった。

 

○感想

面白かったです。

セシリーもレイナルフも、ものすごく真面目なんで、甘ったるい雰囲気とかはあまりないんですが、意外とレイナルフ様が強引で良かった。

 

メルガルド国側が、かなり酷いんですが、元凶は側室ヴェネット。彼女、何年も正妃になれなかったものだから、正妃への執着がものすごかった。オルレア国王との結婚もヴェネットが企てたもので、セシリーの母も、実は毒殺でした。

 

逃げ出したミシュリアも、誘惑した騎士が邪魔になったら殺しているしね。かなり酷い。しかも、セシリー暗殺計画も企てております。

よく似た母子というべきでしょうか。

 

セシリーの父、メルガルド王ですが、彼がセシリーの母を疎んだのは、先代の王が賢王として有名で、それに比べて・・・というわけで、権力を持った貴族の娘をあてがったのですが、それが気に入らなかったんですね。実の娘なのにセシリーに対しては最後まで冷たかった。

しかも、ミシュリアとヴェネットの処遇を求めたレイナルフに対して、結局、二人を修道院に入れるしかできず、かなりの愚王。

 

そして、実はミシュリアには兄がおりまして、セシリーには義兄です。この人、ヴェネットから産まれたにしては、まとも。王宮に居た頃、唯一セシリーを影で可愛がっていた人でした。ええ、父母妹の目が怖くて、あくまで影で。

 

しかしながら、作品中では空気で出番は無し。

王太子だったんですが、王妃を毒殺した女の子供を王にするわけにはいかない・・・ってことで廃嫡となり、どこかの貴族に養子になったらしいです。まあ、王の器じゃなかったから、良かったのかもしれないとのことですが、できれば、出番上げて欲しかったなあ。

 

とにかく、レイナルフ様が優秀かつ有能。

彼に憧れる令嬢たちからセシリーが虐められていることにも素早く察知して手を回すとか、素敵すぎる。

 

全体として、すごく先が読みたくなる良作でした。ただ、ヴェネット妃だけは処罰して欲しかったかな。

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