それでもやはり、生きていく上で、キャンサーロストにばかり意識を向けて生きていくのは気持ちとしては苦しいものです。

よって、この経験から得られたもの、つまりはキャンサーギフトにもできることなら目を向けたいわけですが、経験上感じるのは、意図的に得ようと思ってもなかなか難しいということです。

どちらかというと、頭で考えたり、意識的に得ようとしたりするよりも、気づいたらふと得ていた、という感覚のほうが自然ですし、腑に落ちる気がします

私の場合も、病気によって自分自身のキャリアが閉ざされてしまったというキャンサーロストを十分に消化せぬままに、「これは新しいキャリアの第一歩なんだ」と強がってみたものの、結果として、そのキャンサーギフトと思っていたものが、なかなか腑に落ちない感覚がありました。

頭で理解しようとしても、無意識化ではどうしてもキャンサーロストの方に意識が行ってしまうという状態でした。

ですから、今、苦しい状況下に置かれているがん罹患経験者の方は、無理にキャンサーギフトに目を向けることはないと思いますし、いずれ振り返ってみた時に、ふとキャンサーギフトに気づく瞬間がきっと訪れるのではないかと思います。

ちなみに、前出の「『キャンサーロスト』に関するアンケート」結果によると、66.7%の方が、「がん罹患後から現在に至るまでに、あなた自身に『キャンサーギフト』はあったと思いますか?」という質問に対して、「あった」と答えていることからも、多くの方が、キャンサーロストを抱えていると同時に、キャンサーギフトも自らの力で手に入れています。

▼アンケートの詳細はこちら


がん罹患経験者にかかわる方々には、ぜひ、罹患経験者の方がいずれキャンサーギフトに気づけるよう、温かく見守っていただけたら嬉しいです

(続く)