『そして歩き出す』を読んで感じたこと。 | 38歳2児の父、まさかの中咽頭がんステージ4体験記! 〜がんチャレンジャーとしての日々〜

38歳2児の父、まさかの中咽頭がんステージ4体験記! 〜がんチャレンジャーとしての日々〜

まさかのガン宣告。38歳の働き盛りの父親としてこれからまだ数十年、当然健康体で生きていくだろうと漠然と考えていた自分の未来予想図が、一瞬で崩れ去った瞬間でした。その日からの出来事をできるだけ前向きに語っていきます。

こんにちは、がんチャレンジャーの花木裕介です。

本日、なんとか41歳の誕生日を迎えることができました。メッセージをくださった皆様、ありがとうございました。

今日は奇しくもそんな私と同じ誕生日である著者が書いたおすすめ書籍のご紹介です。

先日、Jリーグ・アルビレックス新潟所属の早川史哉選手(1994年1月12日生まれ)の書籍『そして歩き出す』を読みました。

早川選手は、2016年、大学卒業後のルーキーイヤーにレギュラーポジションを掴みながらも、体調不良による精密検査の結果、急性白血病の診断が下され、それから治療、リハビリに専念。

2019年10月に公式戦に復帰するまでの約1300日にも及ぶ日々のことを書籍で綴っています。

年代別の日本代表にも選ばれ、今や海外のクラブでも注目を集める南野拓実選手や中島翔哉選手とも親交の深い早川選手にとって、プロ選手として伸びしろも大きい20代前半を棒に振ったことは、とてつもない悔しさがあったと思います。

特に、治療が終わり、せっかくトレーニングができるようになっても、少し走っただけで息が上がってしまったり、ジュニアユース(中学生)やユース(高校生)との練習にもついていけなかったり、といった下りは、プロ選手として活躍していた彼にとっては引退宣告にも近い感覚があったのではないかと想像します。

個人的には、治療後のこうした葛藤の場面が、今の自分に重なるところがあり、とても共感しました。

治療が終わり、日常に戻れた喜びや周囲への感謝の一方で、なかなか治療前の状態には戻れない悔しさや自身の序列が下がっていくもどかしさ、ふとしたときに襲ってくる再発の恐怖。

こうした二極化した思いが同居しながらも一歩一歩着実に進んでいこうとする早川選手の人生に対する真摯な気持ちが伝わってくる一冊でした。

ちなみに、私が特に印象に残ったのは、以下の内容です。

……

・正直、虚しさを覚えた。すぐ近くに慣れ親しんだ場所があるのに、そこに立ち入ることができない。トップチームとの練習が重なったときは、ロッカーでは仲のいい選手と話をするが、いざ外に出たらみんなとは別の場所に行く。その姿を練習見学に来たサポーターたちにも見られてしまう。虚しさはどんどん増していった。

・ロッカールームの居心地も正直良くはなかった。僕が離脱をしてからおよそ2年以上の歳月が経っており、その間に加入した選手も多くいて、どこかよそよそしいというか、自分自身の存在がロッカーにおいて、より「異質」になっていた。

・僕が目指す場所が山の頂上とするならば、最初は目標とする山を明確に決めて、その山頂を目指してスタートした。最初はただ山頂を見つめながら歩き始めたが、3から4合目まで来て、「ああ、ようやく近づいてきたかな」と思ってパッと山頂を見たら、山頂までのよりリアルな距離を突きつけられた。

・プロフェッショナルというのは、極端なことを言えば、何かを成し遂げるために命を削るというか、よりストイックに自分に厳しさをもって追求していかないといけない。自分の体を労わることと逆のことをしないといけない。
命を削らないように生きてきたのに、それと逆のことをする。自分の人生に突如発生したその矛盾が、プロサッカー選手として壁に当たれば当たるほど大きくなった。

・軽いもののはずなのに、重いものになっていく。恐怖を感じた僕は、チームドクターのいる新潟医療センターにお願いをして、血液検査をしてもらった。
幸い、検査の結果を見ても問題なく、ただの風邪だったことが判明。正直ホッとしたが、「風邪すらも血液検査の結果を見ないと安心できないのか……」と暗い影が心に残った。

・周りの目からはつねに病気の影が僕についていて、僕もまたすぐ横を見たら病気の影が存在する。
それは命という火を燃やし続けるが、燃え尽きさせてはいけない。プロサッカー選手として上に行くためには、情熱を灯し続けながら、命を削っていかないといけない部分がある。でも、燃え尽きたら本当に終わりを迎えてしまう。
この矛盾は、つねに抱え続けることになる。

・僕は決して勝者じゃない。敗者でもない。純粋に生きることに全力を尽くしている一人の人間だ。僕の生きかたが正解じゃない。人それぞれが生きるために全力を尽くしている。それが真実だ。

・僕は僕の道を生きる。強い自分と弱い自分の2つを抱えながら。今という瞬間を、そして未来に向かって歩き続ける。

【出典:『そして歩き出す』(早川史哉著、徳間書店)https://amzn.to/2QGdpyM
……

プロスポーツ選手でありながら、私のような一般の罹患者が抱えるような悩みや不安とも闘っているのだということを知り、その弱みを晒す勇気や打ち克とうとする姿勢にとても励まされました。

良かったらぜひ手にとってみてください。

(了)