こんにちは、がんチャレンジャーの花木裕介です。

先日、クラウドファンディングによる寄付完了のご報告をしましたが、今日はその続きのお話をさせてください。

▼【参考】『クラウドファンディングを通じての寄付完了報告』

これまで私は、こうした東日本大震災の復興応援活動や、がん経験を世の中に役立てていただく活動などを、基本的に、無償やボランティアで行ってきました。

今思えば、それは本業できちんと不自由なく勤めることができ、さらに時間的にも金銭的にも、そして体力的にも多少の猶予があったからこそ可能なことでした。(もちろん、家族の理解も大きかったですね)

今回のクラウドファンディングまではなんとか……と思い、おかげさまでやり抜くことができましたが、実は、こうした基盤が今グラグラと揺らいでいます。

厳密には、がん治療以降はそういった余力がひねり出せなくなってきています。

背景には、体調的に休職前ほどには残業などを行うことが難しい半面、3ヶ月に一度行っている経過観察等における検査・治療代等(画像参照)が別途のしかかってきているという現状などがあります。


今後5年間は経過観察中につき、新たながん保険にも入れないため、今後の再発・転移のリスク等を鑑みると、できるだけその場合の治療代・入院代等の準備をしておきたく、これ以上貯えを切り崩すことはできないというシビアな個人的事情もあります。

これからどんどん大きくなる子どもたちの養育費も確保しておかなければなりませんしね。

▼【参考】
『がん治療の最終収支報告。』
 
よって、たとえ些少であっても対価を得られる活動を増やしていくことで、万一の備えや、いずれまたボランティアを再開するための基盤を自主的に築いていきたいとずっと考えていたわけです。 


でも、副業・兼業など勝手にやっていいものなのでしょうか。

もちろん、勝手にはいけませんし、勤務先に迷惑をかけるわけにもいきません。

厚生労働省も日本企業の現状を以下の通り述べています。 

「多くの企業では、副業・兼業を認めていない。企業が副業・兼業を認めるにあたっての課題・懸念としては、自社での業務がおろそかになること、情報漏洩のリスクがあること、競業・利益相反になること等が挙げられる(以下略)」 
【出典:「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(厚生労働省HPより) 


しかし、今回、私は勤務先に事情を伝え、じっくりとコミュニケーションを交わした上で、都度許可申請を行うことで、副業・兼業を認めてもらうことができました。

自分の時間や体力の状態に合わせて、柔軟に働く可能性を得られるというこの事実は、私のようながん罹患経験のある社員にとって、本当に有り難いことです。

活用させていただいている「がん治療と仕事の両立支援制度」や「メンタルヘルスカウンセリング」に勝るとも劣らない制度だと実感しています。

副業・兼業に対する望ましい企業の対応として、厚生労働省は次のように述べていますが、たとえ社員が望んだとしても、なかなか英断できる企業ばかりではないでしょう。

「(前略)裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。

副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる(以下略)」 

【出典:「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(厚生労働省HPより) 


もちろん、自身の健康管理や情報漏えいのリスクなど懸念点はいくつかありますが、それを差し引いても、身体に一度ハンデを負った人間にとっては、本当に救われた気持ちになることなのです。(少なくとも私にとっては)

きっと私と同じような境遇ながら、収入を治療前ほどに確保する道がなく、泣く泣く転職や退職せざるを得ない方や、生活スタイルを大幅に変えざるを得ない方も少なくないと考えれば、自分は本当に恵まれているなと感じています。

だからこそ、この機会を有効に活用させていただき、ただ「収入を確保する」ことを目的とするのではなく、できるだけ自身のがん罹患体験を、世の中や勤務先にも役立てられるような活動をしていきたいと思っています。

そしていつか、同じような境遇の方たちのロールモデルのような存在になれたらいいなーと、生意気にも思ったりしているわけです。

今日は少し堅めの話をさせていただきましたが、長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

最後に。こんな私が何か皆様のお役に立てる機会がありましたら、ぜひお声掛けいただけたら嬉しいです!

(了)

【ご案内】
先日ご紹介した、小説出版や出版支援サービス、セミナー登壇などは、こうした副業・兼業の活動の一環として始めたものです。ご参考くださいませ。

ブログ記事『新元号を前に、新たな一歩を踏み出すあなたを応援します!』