柳川から乗った西鉄バスは佐賀市内に入りました。
佐賀城のそばでバスを降りました。40分ほどのバスの旅でした。
お堀の横を、ホテルまで歩いて行きます。
時計をみてビックリ、7時50分。なのにまだ残照。西国に来たんだな~と実感しました。
お堀の中には、佐賀県庁がありました。ライトアップされてる。
県庁の中には古伊万里風の大壺などが展示してありました。さすが佐賀。
最上階の展望室はまだ開いているということで、登ってきました。
このフロアではプロジェクションマッピングもやっているということでしたが、今は時期ではないみたいです。
今夜の宿は、お堀端に建つホテルニューオータニ佐賀。
ロビーには、18世紀初め、ヨーロッパへの輸出が盛んだった頃の古伊万里の壺。
お部屋のランプも金襴手の伊万里焼風で…。
カップは香蘭社でした!
やっぱり佐賀。
朝です。朝食前に、佐賀城址のお散歩に出ました。
ニューオータニは、お堀の外の北西隅を一部埋め立てて建っているようです。
お堀を形成する石垣も、とても低いんだけど…
ホテルのある北西隅から、西堀を見通したところ。左側が城内。
佐賀城は、もともと石垣ではなく、土塁で囲っていたそうです。高さがないため、木で囲って中を見えにくくしていたとか。そのため、今も大きな樹がお堀に沿ってこんもりしています。
ホテルからお堀を隔てた正面、お堀の北西隅にある楠も、と~っても大きくて見事でした。
県庁前のこの楠には、樹齢300年を超えると表示がありました。
特に楠の巨木が多いのが、佐賀城址の特徴なんだそうです。
ホテルの部屋から見えた、お堀の中にあるこの建物。
お寺かな?と思ったら、本願寺の「佐賀会館」なる建物。背後に幼稚園。
この時は、お堀の中に幼稚園があるの?…と思ったのですが。
歩いてみて分かったのですが、この、お堀に囲まれた、佐賀城跡。
県庁、学校、博物館とかだけじゃなくて、民家(それも、ごくふつうの家)あり、アパートあり、駐車場あり。もちろん幼稚園もお店も。
つまり、「ごくふつうの町」が、お堀の中にありました。
このあたりの人は、お城に住んでいて、窓のすぐ向こうはお堀なのです…羨ましいような。
住所も「佐賀市城内○丁目」。
そんな家々の庭先を通るお堀の道。ジョギングや散歩の人とすれ違います。
ここにもデイゴが咲いていました。
西堀を歩いてきて、東に曲がって南堀に来ると、ハスがお堀を埋めていました。
向こうが本丸にあたる場所だそうです。本丸の西側は、珍しく高さのある石垣。
本丸の中に見える屋根は、佐賀城本丸歴史館。
本丸の南側は、石垣でなくて高い土塁でした。
当時のお堀の石垣を一部、復元展示した場所もありました。
地盤が柔らかいため、石垣の基礎部分を木の杭で抑えてあります。
地図をよく見ると、佐賀城の周囲も、柳川に負けず劣らずの「水路だらけの町」。
どちらも筑後川が有明海に流れ込む、三角州の上にある町なのだな~と実感しました。
佐賀城址をめぐる散歩を終えて、ホテルに戻ってきました。
レストランに行こうとしたら、緞通が飾ってありました。
昨夜は館内の焼き物ばかりに目が行きましたが、緞通も佐賀の名産品なんだそうです。
(お堀端に、緞通の美術館もありました。)
レストランでゆっくりと、朝食。
8時前にはホテルを出発。
再び、県庁前のお堀端を歩いて行きました。
県警察の前からちょっとだけバスに乗って、佐賀駅に到着。
駅前。あんまり商業地ではありません。
九州の路線図は、知らないところだらけです。目新しくて新鮮です。
ホームに上がりました。お隣は鍋島駅。
恵比須の数が日本一?恵比須像だけの八十八か所巡りもあるそうです。
吉野ヶ里へ向かう電車を待ってる間に、いろんな列車を見かけました。
このディーゼル車は、黄色いのと、クリーム色×青帯の車体が、連結されています。
唐津線だったかな?
ディーゼルだからローカル線だと思うんだけど、4両編成くらいありました。
スタイリッシュな特急も来ました。
JR九州、車両もいろいろあって、面白いです!
で、乗ったのは、こちらの通勤用っぽい列車。8:26
ロングシートなんですが、シートの柄が凝ってます。久留米絣ふう?
窓の外は、南側…ずっと平坦。有明海は見えませんが。
北側…ずっと平坦な先に、山が見えます。
吉野ヶ里には、10分ほどで到着。
「原」を「ばる」と読むのを見ても、九州だなあ…と思います。
駅の北側は田んぼですが、駅舎も駅前広場もやたらと立派でした。
ここから吉野ヶ里遺跡の公園まで、勾玉の案内に沿って、歩いて行きます。。
弥生時代からずっと続いている、歴史的な田んぼ(かもしれない)。
空は広く、ひばりが元気にさえずり続けていました。
10分ほどで、遠くの高台に何やら、それらしき屋根が見えてきました。
公園に到着。9時の開園まで、少しだけ待って入場。
社会科見学らしき小学生の一群と一緒になります。
入るとさっそく、古代の集落。周囲には溝と柵がガッチリとめぐらしてあります。
吉野ヶ里遺跡、思っていたより、かなり広大です。
見てまわる前に、まずは園内巡回のバスに乗り、北の方へと向かいました。
このバス無料ですし、園内の様子がぐるっと見られて、なかなかいいです。
途中、紅花が育てられてるエリアもありました。当時から紅花栽培してたみたい。
この遺跡は南北に長いのですが、「北=上位」という中国の思想が、この時代の日本にも入ってきていたそうです。
その「北」、もっとも神聖な場所にあるのが、北墳丘墓。小高い丘です。
でもコンクリートの入り口に自動ドア!?なんだここは?
中に入ってまた驚きました。冷房がしっかり効いてるし。
これは何だ??(←事前知識ゼロ)
素焼きの甕を二つくっつけて棺にして、埋葬してある場所でした。
それが14基も。
甕棺の内側には、朱や黒色の塗料が塗られており、漆という説もあるそうです。
時代は、紀元前1~2世紀ごろ。埋葬されたのは、王族と考えられています。
時代が下ると、墓地というより霊的な場所ととらえられるようになったとも。
すごいのは、この甕棺と土はレプリカじゃなくて本物だということ!(副葬品はレプリカ)
ここに、こうやって、埋まっていた…というのを目にすることができます。
実物をそのまま保存するために、空調設備も設けられていたのでした。
こちらはさっきの甕棺の中に入っていた副葬品、銅剣とガラス管玉の復元模型。
このあと、吉野ヶ里遺跡の他の場所も見ましたが、建物は当然ながら推定し復元してみたもの。
本物を見ることができるのはここだけですから、貴重な場所でした。
北墳丘墓を、南から見たところです。
元々は、丘はもっと高かったと考えられているとのことです。
北墳丘墓からスタートして、南へと歩いて行きます。
王族の墓から、徐々に庶民のエリアへと移っていくことになります。
こちらは、同じ甕棺による埋葬でも、もうちょっと人口?密度の高いエリア。甕棺墓列。
王じゃないにしても、こんなふうに埋葬してあるのですから、身分の高い人でしょう。
遺跡は、小高い場所に位置しています。北側の山なみがきれいです。
甕棺墓列の南、「北内郭」という場所に来ました。建物がたくさん復元してあります。
ここは、暮らしの場ではなく、祭祀と政治の場(つまり「まつりごと」)。
中でもいちばん高い建物。祭殿。
建物の下には、簡素な当時の服を着たスタッフの方がいます。
この建物には、上に登れるようになっていました。
登っていくと、人がいっぱいいたんで、驚いた。
会議中らしいです…
さらに上、最上階では、カミのお告げを聞いているところ。
上を見上げると、がっしりとした小屋組み。柱のノミ跡。
ここまできれいに製材することは、できてなかったんじゃなかろうか…?
北内郭を出て、しばらく歩いて、つぎは「南内郭」。身分の高い人が住んでた所。
この町の高い建物は、祭殿ではなくて、物見やぐら。
屋根の上に、木彫りの鳥が飾られてる…と思えば、いきなり飛んでいったりしました(笑)。
飾りの鳥も、確かにいます。遠目だと区別がつきにくいです。
物見やぐらの周囲には、たくさんの竪穴式住居が復元されていました。
竪穴式住居といっても、庶民ではなく、王族の家。
家の中では、様々なお仕事をしています。
これは、鉄剣。銅剣ではなく、すでに鉄が使われています。
腰機。今にも伝わる織機ですね。
公園ボランティアさんたちによる展示。
すでに蚕を飼って絹で服が織られていました。その色も織り方も技術が高く、驚きます。
南内郭のそばの展示室では、さらにく詳しく、織物などについて説明してありました。
絹糸を紫に染めたのは、貝殻から抽出した染料なんだそうです。すごい技術。
この時代の人は、簡素な貫頭衣だけではなく、身分によってこのような衣装も着ていたと…
公園のスタッフの方の衣装は、庶民の服だったのね。
さらに南に来ると、庶民の家々。
家々や蔵、市は高台にあって、村の向こうの低地に、水田。
もう竪穴式住居はおなかいっぱい見たし、暑いし…で、このあたりはざっと通り過ぎました(が、ここもきっといろいろ、見どころはあったのでしょう)。
振り向くと、祭殿が遠くなりました。
広い広い吉野ヶ里遺跡でした。2時間弱の滞在。
東から入って、西から抜けました。このまま西へ歩き、隣の神崎駅へと向かいます。
北側の山並みは、福岡と佐賀を隔てる脊振山地。このあたりでは、佐賀市内よりも近づいてます。
この田んぼも、弥生時代から続く田んぼかな。田植え直前のようです。
やがて田んぼの中に、風景とあまりそぐわないピッカピカの駅が現れました。神崎駅。
吉野ヶ里公園駅もこの神崎駅も、駅舎は大きく、有人駅でした。(歩いてきた北側は田んぼばっかりですが、南側は県道も通っていて人口もそれなりにいるのかな)
神崎駅からは西へ。次は有田へと向かいます。