俺の名は名取。

 

31歳、妻と息子と3人で暮らしている、普通のサラリーマンだ。

 

俺の勤めている会社は大手製造メーカーで、新卒入社で働いていて来年10年目。

 

バリバリの営業マンでここ3年連続トップセールスで表彰されている。

 

なんと今年の昇進試験を受けられることになった。

 

我が社のルールでは年齢ではなく、実績あるものが昇進試験を受ける権利をもらえることになっている。

 

この試験に受かれば、創設以来の最年少部長になれるのだ。

 

かなり難しい試験だと先輩方から聞いている。

 

筆記テスト、実技テスト、そして最後の役員面接。

 

部長になれれば給料は2倍。

 

さらに結果を出せれば、ゆくゆくは支部長や役員への道が拓かれている。

 

俺は俄然やる気になっていて、仕事の合間に猛勉強を始めた。

 

試験の範囲は我が社の製品のことや、関連する法律、特許関連、経営学などなど、専門知識を有することばかりなのでかなり大変だ。

 

妻と息子は快く協力の申し入れを受け入れてもらい、しばらくは仕事メインで打ち込むことができた。

 

昇進試験までの猶予は3ヶ月。

 

俺は極限まで集中してのめり込んだ。

 

朝5時に起きて勉強。

 

8時に出社。

 

昼休みはもちろん勉強しながら。

 

6時に退社。

 

そして夜中の2時まで勉強。

 

これを平日は繰り返し、休日はすべてを勉強に注いだ。

 

3ヶ月後、5kgも体重が減ってしまったが、昇進試験対策は完璧に仕上がったと思う。

 

ついに明日は待ちに待った試験の日だ。

 

最後の日は家族でゆっくり夕飯を食べ、3ヶ月ぶりによく眠った。

 

昇進試験当日

 

朝、目が覚めるととても頭が冴え渡っていることに気がついた。

 

外でスズメの鳴く音がよく聞こえる。

 

部屋の中も心なしかいつもより明るく感じる。

 

自分の身体に流れる血の音が聞こえてくるようだ。

 

これが噂に聞く「ゾーン」というやつか。

 

スポーツ選手などが極限に集中したときに発現することができる、感覚の超圧縮「ゾーン」。

 

単なるビジネスマンである俺が発現できるとは思ってもいなかった。

 

これは今日の昇進試験はイケるぞ!

 

颯爽とスーツに着替え、家を出て会社に向かった。

 

自社ビルの前に着くと、まわりの同僚たちが声をかけてきた。

 

「今日の昇進試験がんばれよ!」

 

「俺たち同期の期待の星だ!」

 

「緊張して鼻毛なんか出すなよ!」

 

…。

 

鼻毛?

 

俺がそんなものを出すわけが無い。

 

俺は営業マンとして鼻毛の手入れだけは怠らない。

 

鼻毛なんてここ何年も出していない。

 

その秘密は、【サボテンノーズワックス】だ。

 

リンク

 

通常の鼻毛の処理には鼻毛切りバサミや鼻毛カッターを使うと思う。

 

だが、鼻毛切りバサミや鼻毛カッターでは、どうしても短い鼻毛が残ってしまう。

 

さらに鼻の縁など入り組んだ部分は切りづらくて切り残しがでてしまう。

 

サボテンノーズワックスならそんな心配は一切無用だ。

 

サボテンノーズワックスは、陰部の脱毛に使われることで有名なブラジリアンワックスの一種で、鼻毛専用に特化した脱毛剤だ。

 

使い方は簡単、猿でもできる。

 

ワックスのもとを専用のシリコンカップに適量入れて電子レンジで温めてワックスを溶かす。

 

溶けたワックスに専用のスティックの先端を絡めて、ワックスが少し冷めたら両鼻に突っ込むだけ。

 

あとはワックスが完全に固まったら一気に引っこ抜く!

 

たったそれだけで気持ち良いくらいに鼻毛がごっそり取れる。

 

写真は見せられないが、鼻毛が根本からごっそりとれたものがサボテンのトゲのようにたくさん刺さっていることから、サボテンノーズワックスという名前になったらしい。

 

そんな名前にも頷けるほど鼻毛が抜ける。

 

しかもお手入れは月1回で良く、繰り返せば繰り返すほど、鼻毛が薄く細くなったいくのだ。

 

このサボテンノーズワックス、ちょっとお得な買い方があるので紹介しておく。

 

通常10回分で1800円だが、購入金額が合計2000円以下だと送料が600円かかってしまう。

 

だが「10回分セット」1800円と「リピートセット12回分」1400円を同時購入すると合計3200円なので送料無料になる。

 

それは1回分に換算すると、約145円!

 

こんなお得に鼻毛処理ができるなんて凄すぎないか?

 

サボテンノーズワックスおすすめだ。


昇進試験で魔物が…

 

俺は部長への昇進試験を最年少で受けている。

 

筆記テスト、実技テストは何とかかんとかこなせて、結果としても自信がある。

 

そして昇進試験最後の難関、役員面接の時間がやってきた。

 

緊張しながらも堂々と面接会場である役員室のドアをノックした。

 

「どうぞ」

 

部屋の中から美人社長秘書の声が聞こえた。

 

「失礼します」

 

と俺は挨拶をしながら部屋に入った。

 

目の前には巨乳美人社長秘書の田中さんと、その背後には役員たち5名が座っていた。

 

田中さんを横目で見ながらも、役員たちに挨拶をして俺は席についた。

 

そして最終役員面接が始まった。

 

巨乳美人社長秘書の田中さんはすぐに部屋の隅の席に座ってしまい残念だが、いまはそれどころでは無い。

 

面接に集中しなければ。

 

田中さんは東大卒で新卒で我が社に入社したらしい。

 

周りからの推薦でミス東大グランプリに出場し大差で優勝した経歴を持つ美人だ。

 

実家は白金台にある豪邸で一人娘なのでとても可愛がられていたらしい。

 

今は実家近くで一人暮らしをしている。

 

何でも親の方針で一人で生活できる力を身につけるべし、ということらしい。

 

と言っても家賃は親が出してくれていて、超高層マンションの最上階ワンフロアに住んでいるらしいが。

 

田中さんは毎日自炊をしている。

 

近所のスーパー(もちろん高級食材ばかり売っている店だ)で買い物をして帰るのが日課だ。

 

昨日は材料から推測するとハンバーグとコーンスープ、海藻サラダでいつものオリジナルドレッシングで食べたはずだ。

 

一昨日は新鮮な魚介類のパエリア、真鯛のアクアパッツァ、じゃがいものポタージュだった。

 

一人分を手際よく料理している。

 

昨夜の食事後はシャワー室と浴室に分かれている10畳ほどの広さのバスルームで、備え付けの60インチのテレビで映画鑑賞をしていた。

 

なかなかのセレブな生活だ。

 

趣味は旅行で国内国外問わず様々なところに出かけている。

 

さすがに国外は追えていないが、国内はだいたい追っている。

 

ほとんど一人旅だが、時々学生時代の友人たちとの女子旅だ。

 

そんな時はいつものキリッとした表情から、ゆるりとした優しい表情に変わるところは見逃せない。

 

俺のお気に入りコレクションの一つだ。

 

いや、今は大事な昇進試験の最終役員面接の最中だった。

 

余計な邪念を取り払わねば。

 

そう思って初めて役員たちの顔をマジマジと見つめた。

 

…。

 

…。

 

ん!?

 

真ん中に座っている最高幹部の五十嵐専務の顔を見た瞬間違和感があった。

 

何だ!?

 

俺は違和感から0.5秒でその正体に気がついた。

 

鼻毛が飛び出している…!

 

漫画みたいに豪快に鼻毛が飛び出していたのだ。

 

しかも両鼻から…!

 

それがあまりにも可笑しくて滑稽で俺は吹き出してしまった。

 

大事な昇進試験の最終役員面接で、だ。

 

頭が真っ白になってしまった。

 

目の前が真っ暗になった。

 

もう巨乳美人社長秘書の田中さんのことしか目に入らない。

 

かろうじて復活した視界で捉えたのは、顔を真っ赤にして頭から湯気が立ち上っている五十嵐専務の顔だった。

 

完全に目があった瞬間に俺が吹き出したのだ、言い訳のしようがない。

 

終わった…俺の昇進試験はこれまでか…。

 

ショックで頭が禿げあがってしまった俺に助け舟を出してくれたのが巨乳美人社長秘書の田中さんだった。

 

「ふふ、名取さん、窓の外の窓拭きの業者さんが邪魔でしたね」

 

そうなのだ。

 

何という幸運か、このタイミングで窓拭きの業者がクレーンで吊られて外で窓拭きをしていたのだ。

 

田中さんは俺が吹き出した原因を知ってか知らずか、窓拭きの業者を見て吹き出したことにしてくれたのだ。

 

これには役員一堂ドッと笑い出した。

 

五十嵐専務も今度は自分の勘違いで顔を真っ赤にして一緒に笑っている。

 

このオジサンいつも顔が真っ赤だな。

 

俺はそんなことを考える心の余裕が出てきた。

 

田中さん、ありがとう。

 

今度いつものように高級ワインをこっこりワインセラーに入れておくね。

 

そしてそこからの役員面接は持ち前の度胸と猛勉強した知識で、とても盛り上がり楽しく面接を終えることができた。

 

結果が出るのは1週間後の辞令の日だ。

 

運命の日

 

俺は月一の鼻毛の手入れをいつものようにサボテンノーズワックスで処理して、お気に入りのスーツに身を包み、颯爽と出社した。

 

天気も良く、気持ちの良い朝だった。

 

辞令は朝9時に全社員宛てにメールで届くことになっている。

 

8時に出社してから1時間、さすがに気になって仕事が手につかなかった。

 

そして、9時になった。

 

「ユーガッタメール♪」

 

メールが届いた。

 

震える手でマウスをクリックしてメールを開いた。

 

辞令が書かれている。

 

俺の名前は……。、

 

…。

 

あった!営業部長に昇進した!!

 

同じメールを見たまわりの同僚から拍手が巻き起こった。

 

「おめでとう!」

 

「よっ、最年少部長!」

 

「鼻毛部長!」

 

鼻毛部長だけ聞きづてならないが、鼻毛のお手入れが完璧な部長という意味と解釈する。

 

これで晴れて部長になり給料も1000万円を超えた。

 

まだまだ俺の物語はこれからだ…!

 

サボテンノーズワックスを愛用していて良かった!