私たちの世代は
瀬尾まいこ 文藝春秋 2023年7月
「明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日からだよ」 今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。 不自由で息苦しかった毎日。 家で過ごすことが最善だとされていたあの期間。 多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代。 それでも、あの日々が連れてきてくれたもの、与えてくれたものが確かにあった――。
コロナ禍に学生だった世代の心晴と冴。
自由が奪われ、学校にも行けない日々。
当たり前の生活が奪われ、つらい経験をしたに違いない。
そのことが原因で、不登校になったり、いじめられたりしたこともあったかもしれない。
けれど、そんな中でも、得たものはある。
心晴にオンラインでいろんな習い事をさせようといた心晴のママ。
夜の仕事をしながら、娘冴のこれからを考えて行動していた冴のママ。
形は違えど、子どもを愛しているからこその行動だったのだと思う。
心晴と家庭教師とこんなつながりがあったとは!
育児放棄されていた蒼葉のことを思うとつらいが、冴のママのように行動をすぐ起こしてくれる人がいてよかったと思う。
就活で知りあったふたりが、親しくなっていき、お互いを尊重しあう姿がよい。
登場人物たちが、前向きになれたことがよかった。
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