海とジイ 藤岡陽子 小学館 2018年11月




 

 




漁師として生き、若くして自分の息子を海難事故で失ったジイ。末期ガンを抱えているが、ある日ひ孫の優生が訪ねてくる。優生はいじめが原因で不登校。饒舌に元気に振る舞うジイと優生が交わした、二人だけの約束とは…(『海神』)。長年開業してきた診療所を閉院する決断をした老医師のジイ。そんな彼を長年支えてきた48歳の看護師。閉院間近のある日、老医師は失踪する。看護師が探したどり着いたのは瀬戸内の島。もう戻らない、というジイの覚悟とは。(『夕凪』)。たたき上げで会社社長にまでなった後、潔く退職し島で石の博物館を営むジイ。大晦日、現実逃避でやって来た孫に、自分の半生を語り始める。それは、誰にも語ったことのない自身の青春時代、親友、そして、唯一の後悔だった…(『波光』)。



海神ーわだつみ
小学4年生の優生は、不登校児だった。
家族で瀬戸内海の島に住むじいちゃんに会いに行く・・・・・・・・

優生とじいちゃんとの約束・・・・
じいちゃんは、最後まで、ひ孫の優生のことを考えていたんだな。


夕凪ーゆうなぎ
看護士の志木が勤める月島診療所の月島先生から、突然、診療所を閉めると言われ・・・・・・・・

月島先生が、診療所を閉める決心をした理由・・・・
70代後半の月島先生に恋心を抱く志木の気持ち・・・・



波光ーはこう
受験生の澪二は母と口論になり行く当てもなく家を飛び出す。
島で石の博物館の館長のおじいちゃんの家に行く・・・・・・・・

おじいちゃんの過去を知り、リニューアルオープンに向けて準備するおじいちゃんの姿を見て、澪二は心を入れ替えるのだ。


短編集でありながら、つながりがある。
最後にある瀬戸内島マップを見て、位置関係がよくわかった。

ジイ 長く生きてきただけあって、その人生には重みがある。
余韻の残る物語だ。

お気に入り度★★★★★