夏川草介 KADOKAWA 2019年11月


 

 

看護師の月岡美琴は松本市郊外にある梓川病院に勤めて3年目になる。この小規模病院は、高齢の患者が多い。 特に内科病棟は、半ば高齢者の介護施設のような状態だった。その内科へ、外科での研修期間を終えた研修医・桂正太郎がやってきた。くたびれた風貌、実家が花屋で花に詳しい──どこかつかみどころがないその研修医は、しかし患者に対して真摯に向き合い、まだ不慣れながらも懸命に診療をこなしていた。ある日、美琴は桂と共に、膵癌を患っていた長坂さんを看取る。妻子を遺して亡くなった長坂さんを思い「神様というのは、ひどいものです」と静かに気持ちを吐露する桂。一方で、誤嚥性肺炎で入院している88歳の新村さんの生きる姿に希望も見出す。患者の数だけある生と死の在り方に悩みながらも、まっすぐに歩みを進める2人。きれいごとでは済まされない、高齢者医療の現実を描き出した、感動の医療小説!


看護士・月岡美琴と研修医・桂正太郎のふたりの視点で交互に描かれている。

忙しい中でも、真摯に患者と向き合っていることに好感が持てる。

終末期医療について、いろいろ考えさせられる。
患者本人にとって、残される家族にとって、何が大切なことなのか?

桂正太郎が、医師として成長していく様子がよかったし、正太郎と美琴の恋が微笑ましかった。

正太郎が、花屋の息子なので、花の話がいっぱいちりばめられていた。

匂いや感染症の問題から、患者への花束の禁止する病院もあるということだが、禁止というのはさみしい。
美琴達が頑張ったから、禁止にならずによかった!
やはり、花は、癒やされる。

難しい医療の現実問題が描かれているにも関わらず、優しさがあふれていた。

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