ご質問
いつもブログを見させて頂いています。
今回2回目の質問でメールさせて頂きました。
36才、両側卵巣にチョコレート嚢腫あります。
一度目は採卵周期に移植、結果は陰性。
二度目は凍結胚を移植、妊娠反応は出ましたが、
約5ミリの胎嚢らしきもの見えましたが(この時のHCGは720)、
6~7週目になって胎嚢らしきものも消えて、胎嚢が見えず、ルティナス膣錠、エストラーナテープを中止して、まず自然に出血、塊が排出されるのを待つことになりました。
胎嚢が見えないというのは、着床したが育たなかったのでしょうか?
今後、自然に排出したとして、すぐにでも凍結卵を移植したいですが、
妊娠の確率を上げる為にも、どれくらい期間を開けるべきでしょうか?
子宮を休めた方が妊娠しやすいのでしょうか?
お答え
いつもハナブロをお読みいただきありがとうございます。
ご質問ありがとうございます。
流産になってしまったとのこと、非常に残念です。
さて、ご質問の内容ですが、以下の2つ分けてお答えします。
①今回は、着床したが育たなかったという認識で良いのか
②次回の移植はいつから可能か
①その通りです。妊娠反応は出ているけれども胎嚢が確認できないことを化学妊娠といいます。
質問者様はおそらくこの状態だったと思われます。
一般的に、一度胎嚢が確認できれば途中で消えることはありませんので、最初に確認されたのは胎嚢ではなかった可能性が高いと思われます。
②これについては絶対的に共通する正解はありません。
自然の月経発来が1回確認できれば良いと考える施設、2回待つ施設、さらには半年待つ施設もあります。
かつてWHOのガイドラインでは半年空けるよう推奨されていましたが、これはもともと単一施設での予後調査が元になっており、やや根拠薄弱なものでした。
その後世界中で多くの検討がなされ、2017年に発表されたメタ分析では、半年待つことの必要性は完全に否定されています。
むしろ半年待たない方が良好な予後をたどることが分かりました。
同論文では、次回妊娠の至適時期について”as soon as they feel ready”と締めくくっています。つまり、「妊娠したいと心の準備ができたとき」ですね。
では、6ヶ月以内での比較ではどうなのでしょう?これについてははっきりした答えは出ていませんが、当クリニックでは自然の月経発来が1回確認できれば移植可能と判断しています。
血中にhCGが残存していると内膜の性状変化が起こり得るため、移植の至適時期がズレる可能性がありますが、我々の経験上、月経が1回起こるまで待てば十分だと考えます。
術後1週間~10日くらいで診察があると思いますが、そのときの超音波検査で胎盤の遺残などがなければ、次周期の移植で問題ないでしょう。
回答は以上です。
次回の移植で妊娠継続できますよう、お祈り申し上げます。
文責:
[医師部門] 江夏 国宏
2004年 慶應義塾大学法学部卒業
2012年 熊本大学医学部卒業
日本産科婦人科学会専門医
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