Y先輩のおかげで、昨日とうとう、突きは鞭のひと振りだと、体で理解することができました。

昨夜嬉しくて反復したせいで、今日は背中がジンジンしています。


一晩たって思いました。
これが、ムチミなんですよね。
今さらなのですが。
(追記:違いました。文末の【お詫びと訂正】を必ずご参照ください)

このブログを読んでくださっている方々も、「おい、はみ唐、今さら何かよ(笑)」とお思いかと。

でも・・・違うんです。
少し障りがある内容ですが、ハッキリ書きます。あくまでも私の理解の範囲内での内容と思って読んでください。

このムチミの突き(と便宜上呼んでみます)は、世の多くの空手流派会派がやっているムチミの突きと違います。別物なのです。

私は、ムチミの突き=世で行われているムチミの突きのみ、だと思っていました。そして、その認識ゆえに、無想会の突きの修得において、ムチミの概念を排除していました。

なぜなら、世間で言われるムチミの突きは、腰の振り(振り戻し)、回転、あるいはツイスト、あるいは逆腰で行われているものであるから。
そして、そうした腰の操作は、無想会の突きでは、「一切行ってはいけない」と固く禁じられているからです。

ムチミの概念を(恐らく)初めて書籍に記し、世に広めたのは無想会・新垣師範。しかし、その新垣師範の空手では、“腰を使って身体を鞭のように振る身体操作”は厳禁とされている。

なんという矛盾。
なんというおかしな状況。

そのことに初めて私がぶつかったのは、去年初参加した東京セミナーです。

私は、「新垣師範は無想会の技術としてはムチミを使わないけれど、沖縄空手一般の身体操作としてムチミを紹介したのかな?」と、早合点し、その誤解のまま一年を過ごしてしまったのです。

昨夜、これが大きな誤解であったことを悟りました。

無想会は、ムチミを使います。
ただしそれは、腰を振る、振り戻す、ツイストする、回転する、逆腰を決めるというムチミでは無かった、ということだったのです。

もちろん、あれもムチミだと思います。
しかし、無想会のムチミではありません。

無想会のムチミ(と呼んでみます)とは、腰を使わず、体の前面の筋肉も使わず、肩の筋肉も使わず、かと言って腕の筋肉だけの操作でもなく、突きを“鞭のひと振り”で放つ技術。

即ち、広背筋で、“鞭のひと振り”として突きを放つ技術なのです。

ムチミの突きの鞭の持ち手がどこにあるかを考えれば、違いは明白です。

世間のムチミの突きでは、鞭の持ち手は腰にあります。対して、無想会では鞭の持ち手が広背筋にあるのです。

鞭のムーブメントに、広背筋以外は使いません。

広背筋より下にある骨盤は回しません、振りません。固定です。

突き手の反対側の半身も使いません。固定です。「闇夜に霜も振る如く」を保ちます。さの上で静かに等速運動や落下運動をすることもありますが、回転することも、振られることもありません。

体の前面の筋肉、使いません。
鞭の持ち手が腰にあるムチミ突きでは、体の前面の筋肉も動員することもあると思います。もしも“ムチミ突き”で「脇を開いた方が突きやすい」も感じるなら、体の前面の筋肉を使っています。

しかし、無想会ではこれもしません。

広背筋と、鞭として振られる突き手以外、体のすべての部位は動かず、「闇夜に霜の振る如く」を保っているのです。


ムチミの概念を新垣師範が世に広めて以降、無数のムチミの突きが紹介されるようになりました。

ムチミなんて、沖縄空手に興味がある者ならば、もはや誰でも知っている(そしてできている)身体意識・操作だと思われるに至っています。

私もそう思っていました。

しかし、それはムチミの一種ではあっても、ムチミのすべてではありません。

少なくとも、ムチミを世に送り出した新垣師範のムチミは、全く別物なのです。


興奮のあまり、同じくことをしつこく繰り返す、おかしなテンションの投稿になってしまいました。

読んで気分を害された方もいらっしゃると思います。

しかし、それでも知ってほしいと思います。

腰を使う、骨盤部位の中心軸操作を使うムチミ突きは、ムチミの一形態に過ぎないということ。
そして、それとは全く異なるムチミ突きがあるということを。

優劣や、正統・非正統の議論はひとまず、置いておきましょう。

伝えたいのは、ムチミが新垣師範によって広められた1990年代後半以降、多くの方々が新垣師範が書いたムチミとは違うムチミ操作をしていた、という事実です。

そして、この腰を使わないムチミ突きも使えたら、皆さんは、もっと強くなる!ということ!

まあまあ落ち着け、はみ唐。
それはそうとして、でも、腰を使わず広背筋だけで行う“もう一つのムチミ突き”に、一体何のメリットがある?

よくぞ聞いてくれました。
それが、ありまくりなんです。

骨盤より上しか使わないので、突きが歩法から完全に独立します。歩いているどのタイミングでも突きが放てます。足の状態、腰(骨盤)の状態を気にする必要が皆無です。

突きのための運足、運足に合わせた突き、そんな調整・連動が不要になります。自由の世界です。

そして、相手から見えにくくなります。
腰の振りは相手から見えます。身体前面の筋肉の収縮も。しかし、背中の広背筋の収縮は、見えません。相手に気づかれず、ミサイル発射のボタンを押せるのです。

腰を振る・回すムチミ突きを捨てろなんて言ってません。
その必要は無いと思います。

私が言いたいのは、そのムチミに、もう1つ別のムチミ=腰を振らない回さないムチミ突きも加えてみませんか?ということ。

戦い方のバリエーションを一気に増やしてみませんか?という提案です。

どうです?
やってみませんか?

もう一つのムチミ。
やりましょうよ!


【お詫びと訂正】
コメント欄にある通り、新垣師範は、無想会の鞭の突きをムチミとは呼んでいないとのこと!
ムチミ=餅身とのことです。

無想会の突きをムチミと呼んでしまったのは、私の勘違いでした。

失礼致しました。

でも、世間では鞭の突きをムチミの突きと見なす傾向もあります。

そこで、本稿では世間での呼び方に合わせて、無想会ではムチミとして呼ばない身体操作をムチミと呼んだ、という整理にさせていただきます。

以上、お詫びと訂正でした。