物理サークル2019.5.18報告補足〜静電気はむつかしい! | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 物理サークル5月例会の報告を前回しましたが、かんじんなことを忘れていました。

 

 林ヒロさんの静電メーターを使った実験で、いちばんおもしろかったことを書くのを、すっかり忘れていました。

 

 ということで、補足です。(蛇足ではない笑)

 

 

 プラスに帯電したラップの上にアルミ皿を置きます。

 

 アルミ皿の帯電は、プラスでしょうか、マイナスでしょうか・・・

 

 これは、実際に実験をした人しかわからないと思います。

 

 いわゆる「理屈」なら、アルミ皿にラップのプラスの電気の一部が移り、アルミ皿がプラスに帯電するはずです。

 

 静電メーターで、このアルミ皿の帯電を調べてみると・・・

 

 

 ・・・なんと、マイナスに帯電するんですね!!!!

 

 なにか、おかしい!!!

 

 と、思った方は、静電気についての高校レベルの基本的な知識がある人、ということになります。

 

 でも・・・

 

 ・・・・

 

 実際に、授業などでこれらの静電実験を見せている側(つまり、ぼくたち物理教師)は、単純にそうならないことを、経験的によく知っています。

 

 帯電した不導体(つまり絶縁体)と、帯電していない導体(金属)を接触させてはなすと、導体は不導体とは逆の電荷に帯電するのです!

 

 つまり、かんたんに余分な電荷が不導体から導体へ移動することはない、というのが、実際の実験結果。

 

 これは、箔検電器とよばれる実験装置で、お皿に帯電した発泡スチロールなどを接触させるときに、よく起こる現象です。

 

 たとえばプラスに帯電した不導体を箔検電器の金属のお皿に接触させてはなすと、箔検電器が帯電するのですが、箔検電器がプラスになるはずだという予想とは違って、箔検電器全体がマイナスに帯電するのですね。

 

 その原因はいまのところ、よくわかりません。

 

 この実験に限りませんが、静電気の実験は、実験日の空気の乾燥具合で、まるっきりちがう結果になるのです。

 

 つまり、箔検電器と帯電体を用いた静電気の実験は、ぼくたちの頭の中ではあくまでも箔検電器と帯電体の間の物理現象なのですが、現実には、第三者である「空気」や「実験者の体」の影響が非常に強い、複合的な物理現象なのです。

 

 実験を紹介した林ヒロさん、最後の一言は・・・

 

 「いやあ、静電気は、わからない」

 

 ・・・おあとがよろしいようで・・・

 

 ていうか、こういうところにこそ、本質が隠れていると思います。

 

 また、何かわかったら、報告しますね。

 

 

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