組織の中で、責任を担う立場になった場合、より良い成果を出していくためにもメンバー同士の呼吸を合わせ、チームの団結を図らなければなりません。

その際に、一人一人の「傾向性」を把握することが必要だと思います。

「傾向性」とは、その人の「クセ」とも言えます。考え方の「クセ」であったり、心を何かに向ける時の「クセ」であったり・・・組織のリーダーは、メンバーの傾向性を知り、うまく助言をし、リードして上げることが大事です。

私も会社で部下を訓練し育てていく際に、この「傾向性」との闘いを何度も経験してます。ある人は、一つのプロジェクトに対して、細かいところから取り組もうとし、ある人は全体像をつかんでから取り組もうとする。こういう傾向性の違いであれば、お互いに補い合ってチームワークがうまく行く場合も多いですが、問題のケースもあります。

例えば、どうしても時間に追われる傾向性の人は、いつも待ち合わせ場所にギリギリに駆けつけて来るか、頻繁に遅れる。反対にいつも時間に余裕を持って動く人からすれば、ギリギリの傾向の人とチームを組んで、一緒に仕事をするのは苦痛です。また、同じことでつまずく人もいて、その人は、いつも同じことでトラブルを起こします。

以前、ある組織で私の部下だったK君は、真面目で優秀な人でしたが、他人の言葉にすぐ振り回されてしまうところがありました。あるプロジェクトで苦労をしていた時、人から「そんなに辛いなら思い切って会社を辞めたら?」と言われ、転職を考え、他の同僚から「やり遂げてこそ信用を積み昇進の道も開ける」と励まされては、また戻ってきました。こういう中途半端な気持ちの人がいると、チーム全体の士気が低下し、皆の気持ちも落ち着きません。  

何とかプロジェクトは成功したものの、また次のプロジェクトでも同じことの繰り返しでした。私は数年間、Kさんの中途半端な傾向性と闘いました。優秀な人材であるだけに、この傾向性を何とか変えることができないかと、忍耐強く関わりました。「何があっても私はKさんを信じている」ということを、事あるごとに伝えました。今では、組織のつながりを越えて、親しい付き合いをしています。 

「信じる」ことが全てを変えるのですね。