
『冒険の衣服』
胸は隠れているが成熟した女人であり、頭部から薄衣を纏っているが全裸である。目を瞑り両手を挙げているが、防御なのか呼び寄せているのかは不明である。
オサガメがいるということは、この領域が海底である証であり、頭部が男根に見えることから、このオサガメは男を暗示している。
オサガメの身体はナイフのような鋭利さがあるが、女を護っているのか攻撃しようとしているのかは不明である。しかし両者の頭が逆方向にあり、オサガメは彼女のもとにやってきて留まろうとしているのか、離れていくのかが分からない。
板状の層が重なっている。膨大な時間は、板の切断面により人為的なものを感じる。想像上の時空であり、この大胆な企ては冒険である。
関係は常に緊張をはらんでいるが、時間は止まっている。
深い海の底で強靭なオサガメに守られ、深い眠りの中にいる女。神秘的な時空こそが冒険の衣服なのかもしれない、大胆な空想である。
写真は『マグリット展』図録より