
この罠は何だったのか。まさか鑑賞者を転倒させるためではないはず・・・。
わたしは考えた、この罠の秘密を。そしてこの謎を解いたニュートンに突き当たったとき、デュシャンの原理に対する真摯な眼力に深く頭を下げざるを得なかった。
law of universal gravitation 万有引力の法則である。(すべてにおいて物体は互いに引き寄せられる引力・重力を及ぼしあっている)
重力の法則、物体は床面に垂直に落ちる、ゆえにコート掛けは床面に在らざるものである。
日常の何でもない所作、観念的な思索は《法則》の上に成立しているという事実の再発見である。仕掛けられた罠は、アリストテレスの重いものは早く落ちるといった視覚的な観点を打破したニュートンの概念への再認識だったのだと思う。
物があるという事、存在理由(機能)は秘密裏に潜在している。
写真は『DUCHAMP』(ジャニス・ミンク) www.taschen.com