厳かというより念のいった古い時代ものの箱、この箱のガラス板で仕切られた中に3つの停止原基が収められているという。
 片や直線、片や不定形な流動線を持つ長さも任意であるらしい3つの板状、これを以て『停止原基』と認定している。
 無限にあり、決定を下すにはあまりに偶然である形状を留める。これを停止原基とは納得しがたい。しかし拒否の根底を支配するものは歴史に培われてきた観念であり、約束である。

 原基とは何であったか。合意である、多数の人たちが動かし難い(動かしてはならない)と認めた総意は以後連綿と受け継がれ学習される。
 基準である。直線は自然界に存在せず、人智の約束であり、人との堅い関係性である。
 その片面に流線形を固定させ、双方を以て停止原基と名付けている。
 決定的なもの(必然)と浮流する否定(偶然)を併せ持つ各々3つの板状は、然るべく時間を経た歴史の任意の点に大切に保管収納されるべきだと論破している。

 主観と法則にはズレがあり、その隙間を埋めていく作業(仕事)がそれを修正していく。停止原基はその一石である。


 写真は『DUCHAMP』より www.taschen.com