角砂糖型に加工した大理石の用途?単に徒労とも思えるが、同じもの(酷似)の集合がひしめき合っている光景にも見える。
 無味無臭、意味のない似た者同士が押し合いへし合いしている光景。
 鳥かごの中を一つの社会と捉えれば、殺伐としたまるで幽閉された社会に見えてくる。出口(開放)はあるが、出ていくエネルギーがなく留まらざるを得ない。飛ぶ精神力の欠如、重力に委ねた存在である。しかも小さな社会にすぎないことへの自覚を促すような作品の造りは衝かれるものがある。

「否定せよ、反旗を上げろ!」のつぶやきはやがて木霊のように大きく胸にわだかまりを生じさせる。
 死(終末)はすぐそこに隣り合っている・・・イカの甲は大理石の中を割って入りこみ、しかもこの社会(鳥かご)から抜け出しているではないか。

 温度計は、内在する空気の上昇を秘かにキャッチしてはいまいか。

 見る者は想像力を拡散し、あらゆる可能性を考える。
 しかし、究極、無機的な無意味なものの寄せ集めからは価値を見い出せない。未来(発展)のない絶望、これらは気温の昇降に無関係な代物である。

 ただ物理の世界で通用しないことも、思考(精神)の世界では、この作品を基点として導かれる時間への挑戦が動き始める。否定は肯定の道を開く鍵である。


 写真は(www.taschen.com)より