
『上流社会』
上流社会とは何だろう。いわゆる支配階級であり、大衆の労働による生産物を搾取する人たちのことかもしれない。
作品は暗色のモーブ(ベタ)であり、時代を問うていない(人の世の常である)。
山高帽と着衣の人型シルエットが二面重なり合っており、一方は緑の集合、一方は海と空(大地)が描かれている。
つまり、人を想起させるが人ではなく、緑(生産物)や海・空(自然)を我が物に所有しているという状況の暗示である。摂理(神の配慮)だろうか。自然界すべてを治め支配するという理法は上流社会にのみ通用するものだったのか・・・。
上流社会における占拠の横暴は人(人型)の中に自然発生する構造かもしれない。
優位における当然の権利は、しかし社会の中でのみ成立する不条理である。
『上流社会』への静かなる眺望。反逆には遠く、ただ凝視する眼差しに皮肉が混じっているかもしれない。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)