『記念日』

 記念日、言わずもがな「わたくしの生まれた日」である。
 わたくし(マグリット)が(わたくし自身)を確信した誕生日であり、記念日である。

 室内を大きく占拠した石、室内は人為的な設えであり、教育された思考/積み重ねた情報の集積、すなわち観念である。わたくしはその中にぴったり等しく収まっている。
 
 収まっているが、違和感がある。

 この状況は、果たして真実なのだろうか。肯定に対する反旗、疑惑の芽生え。
 この何とも息苦しい身動きできない空気に気づいてしまった。しかしよく見ると、わたしの前方は大きく開いている。開放・自由の時空にはカーテンのかかった窓もない。

 つまり何もない未来、自由な解放があるということである。
 その喜びに気づいた(わたくし自身の新しい誕生)の記念日である。


(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図録より)