
岩石と樹、この質量を超えた同等の感覚。
この画(時空)の前に立つ鑑賞者の気持ちがこの絵の答えである。
この質量を超えた等価関係に《わたくし》が加えられる。描かれていない第三者である鑑賞者が《岩石・樹・人》というトライアングルを作るところにこの絵の答えが潜んでいる。不特定多数の人がこの絵の前に立った時、答えを見出せるように誘引した作品なのである。
誰が誰よりどうだとか、優劣を問わない絶対の平等。争いのないユートピアの平和である静けさがある。
現実の政治経済の混沌の中では決して生まれることのない世界の暗示であり、マグリットの神聖な願いでもある。
(個人的には『美しい絵』と名付けたいほどに、静かな感動に満ちている)
(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図録より)