『礼節の教え』

 等値関係・・・まさにこの景色(空間)において《巨岩石と樹木》が不思議に同じ質量に見える描かれている。実際、質量の異なるものが同値などということはあり得ないが、慎重かつ心理的計算を駆使したバランスによって成立している。

 この奇妙なバランスの調整は、どこまでも同値をめざしている。色・形・質量、異種の組み合わせが《同等》を表明している。

 石(無機)と樹(有機)、長く時間を保つもの、やがて枯れ消失を余儀なくされる物・・・あらゆる条件を外して入るが、同じ時空に存在し得るもの同士ではある。

 マグリットは黙して問う、「違いはあるのか」と。
 この世の万物に向かい応える、『等しき同士=平等』であると。

《人類ばかりが優位なのではない》という忠言でもある。自然との共生共存、抑制と秩序を以て世界の中の人として自然に敬意を払うべきである。(この絵を高みから解釈するに非ず)


(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図録り)