滴れり日の出前なるあかるさに(茨木和生)

 滴れり、日の出前なる明るさに。夏の日の出前は全体幽かにぼーっと明るいが何かがはっきり見えるというわけでもない。
 滴る様子を見たかもしれないが、その記憶(ような気がする感覚)、そうに違いないという夜明の清々しさ静謐を詠っている。

 夜明け前という時間、滴れりという流れとの距離感、(あかるさ)という彩色、大きな空間への広がり、詠み人の点(滴る)から拡散していく大いなる宙への意識、揺るぎない鋭敏さに打たれる。