「ムーミン谷の冬」を読んで | 浜田真実*しげのぶ真帆 文筆と朗読の「まほろふ舎」

浜田真実*しげのぶ真帆 文筆と朗読の「まほろふ舎」

昭和の終り頃、シャンソン喫茶「銀巴里」にて歌手デビュー。平成の中頃に、心と身体を整えるボイトレ教室「マミィズボイススタイル」オープン。「声美人で愛される人になる」「説得力のある声をつくる」等出版。この頃は「しげのぶ真帆」名義で、文章を書き朗読もしています。

フィンランドの児童文学作家トーベ・ヤンソンの描く
「ムーミン」の物語。

ムーミン谷の小さな生き物たちは、冬眠します。

なんと、11月から4月まで。

お腹に松葉をたくさん詰め込んで、ぐっすり眠るのです。

ところがある年の冬、主人公のムーミントロールは、

新年を少し過ぎた頃に、目覚めてしまいます。

起きているのは、自分ひとりだけ。
 

孤独と恐怖に襲われたムーミンは叫びます。

世界中が、どこかへ行っちゃったよ!

親友のスナフキンに会いに行こうとしたムーミンは、

窓から飛び出し、生れて初めての冬を体験します。

1957年に発表された「ムーミン谷の冬」は、そんな

ムーミントロールの、冬の冒険が描かれています。

◆◆◆

やがてムーミンは、ひとりぼっちだと思っていた

冬の世界にも、たくさんの生き物が生きていることに

気づきます。

海では泳げないけれど、スキーが出来ることも知ります。

ムーミンの世界が、少しずつ広がって行く過程が見事に

描かれています。

そして、ムーミンの冬の冒険を支えたおしゃまさんは言います。



どんなことでも、
自分で見つけ出さなきゃいけないものよ。
そうして自分ひとりで、
それを乗り越えるんだわ


子どもの成長を見守る、この適度な距離感。
この適度な寄り添い方が、また見事です。

ものごとってものは、
みんな、とてもあいまいなものよ。
まさにそのことが、
私を安心させるんだけれどもね


そう。
確かなものなどなにもない。

ムーミンの世界は、フィンランドの雪のように、

深くて手ごわいのです。

私たちは、ムーミンのように突然ひとりぼっちで

冬の世界に取り残されてしまうこともあります。

それでも、耳を澄まし目を凝らせば
聴こえてくる、見えてくるものもあります。

勇気を出して、一歩を踏み出せば
新しい出会いも必ずあります。

~あなたの新しい1年が、
   美しい響きと歓びに満ちて
     幸せでありますように~

 

(2018年12月26日配信メルマガ・呼吸の奇跡☆声の魔法より)