すっかり傍聴記が脱線しましたが、具体的な事案に戻ります。
もう一度事案をおさらいします。
母子無理心中か、3歳次男死亡…長男にメール
2012年31日午後11時40分頃、横浜市港北区新吉田東のアパートで、入居者の無職横山ミミさん(42)と次男の幸信ちゃん(3)が倒れているのを、帰宅した高校1年の長男(15)が発見した。
港北署員らが駆けつけると、幸信ちゃんは寝室の布団の上ですでに死亡、横山さんは玄関で手首から血を流して倒れており、意識不明の重体。
港北署の発表によると、発見の約10分前、横山さんから長男の携帯電話に「2人で死ぬことに決めました。ごめんね」とのメールがあった。
子育ての悩みや将来を悲観する内容のメモも見つかった。幸信ちゃんに外傷がなく、2人とも嘔吐した形跡があった。同署は、横山さんが薬物を使い、無理心中を図った疑いがあるとみて調べている。
横山さんは長男、次男との3人暮らし。長男から連絡を受けて、元夫(63)が119番通報した。
・事実については争わず。
・弁護人は責任能力がなかったと主張、検察はあったと主張。
・被告人は幼少期に(育ての)母親に虐待されて精神的に病んだ。
母親は被害者を「ばっちい」と言い、長男(養護学校。ただし、やり取りは一般学生とほぼ変わらない印象)は被害者を「うざい」と言い、私たち二人がいなくなればいいと判断し、遺書を残し無理心中を図ろうとした。
被告人はまず被害者を殺害し、続いて薬物100錠を飲み自殺しようとしたが、ここで被告人がミスをする。
長男にはAM3:33に(本人のミミという名前にちなんで)自殺する旨のメールを送信する予約設定をしたつもりだったが、誤って23:33に設定して送られた。
長男がすぐにかけつけたことにより、被告人は九死に一生を遂げた。本来の目的を達成できなかった。
・被告人は鬱病で生活保護受給中。以前はパートタイムでホームヘルパーの仕事もしていた。
母親の虐待を強調。
しかし、母親は虐待をしたつもりはないと証言。
被告人の兄は、被告人が母親から愛情を注がれていなかったのは間違いないが、虐待とまでは言えないと証言。
被告人は中学卒業後、ほとんど家に帰らず、家出状態。
父親は元暴力団組員。
・しかし、被告人は生来は明るいキャラクターのようで、
結婚→長男出産→離婚。妻子ある男性と内縁関係→次男出産→父親認知せず。他に年下の彼氏もいたとのこと。
幼少期が大変だったのは事実だし、次男を「私の宝物」として愛情を注いでいたからこその無理心中も想像はつく。
でも、次男を巻き添えにするのはあまにりも身勝手(といっても、よくある無理心中パターンらしいが)。
長男と次男は別の父親。
長男の父親も証言し、被告人の面倒を見るとのこと。深い愛情を感じた。
こうして被告人を必要としている人間がいるのに。長男も自分を責めている。可哀想。
遺書は丁寧な字で内容も丁寧に書かれている。とても精神病にかかった人間とは思えない。
本人が一番後悔しているだろう。
本人にとっては最悪の結果になってしまった。
重い案件だったので、僕は二回傍聴しただけで、他の裁判員裁判の新件に移動しました。
追記)
左陪席裁判官の小林さん(女性)、質問がコンパクトで好印象。
右陪席の前澤さん(女性)は質問ゼロ。やる気なし。たまに目をつぶる(眠そう)。
裁判員からの質問もゼロ。おいおい、俺だったら質問したいこと、たくさんあるのに。あの壇上に乗ると緊張して質問できないのかな。
補充裁判員の男性が初めて一つだけ質問しました。質問内容、悪くないです。
ちなみに、補充は直接マイクを使用してはいけないようです。小林裁判官にメモを渡して、小林裁判官が読み上げていました。