新化への歩み(4)~2月12日付茨城新聞より | Field of Dreams

新化への歩み(4)~2月12日付茨城新聞より

【FW 大迫勇也】~2けた得点目指す


 「ボールを持ったら、まずゴールを見る」。練習試合のホンダロック戦で、大迫勇也はゴールへの最短距離を考え、得点イメージから逆算したプレーを貫いた。貪欲に前へ前へ。後半14分、ゴール前の混戦から得点した。それでも、今季から背番号9を付ける19歳の視線は先を見据えていた。「決めるべきところはたくさんあった。もっと動いて、もっとチャンスに絡まないといけない」。

 全国高校選手権の最多得点記録を塗り替え、鳴り物入りで加入したのが2009年。「あっという間だった」と振り返った1年は、極めて中身の濃い時間だった。第2節新潟戦でプロデビューし、第3節広島戦ではリーグ初先発。第5節FC東京戦でJ初ゴールを決め、序盤戦は日本代表の興梠慎三を押しのけてレギュラーに座った。

 結局、「ついていくのがやっとだった」と明かすように、徐々に心身ともに疲労がたまりプレーに波が生じ、中盤戦以降はベンチスタート。だが、高卒新人で22試合3得点と貴重な戦力になり、昨年12月に日本代表にも初選出された。

 年始は母校・鹿児島城西高で高校生に交じって体を動かした。家族や友人からねぎらいの言葉を掛けられるたび、強く決意したという。「頑張らなければならない」

 有意義なプロ1年目を過ごしたとはいえ、「自分らしさを出せなかった」という思いが強い。チームに慣れようとするあまり、個人で仕掛ける回数が減り、シュートもできない試合もあった。ボールを持ったらゴールを見るのがストライカー。「勝負の年」と位置付ける今シーズンは「得点は2けた狙いたい」と決めた。

 ホンダロック戦後、めったに個人名を挙げないオズワルド・オリベイラ監督が、「大迫は若手の中では成熟してきている」と期待を込めた。それを聞き「本当ですか」と喜んだ後、「でもまだまだ」と引き締めた。目指す高みはもっと先にある。182㌢、70㌔。鹿児島県出身。

(松本隆吾)

                                            (おわり)