翌日も、香子は塾を休んだ。淳も部活を休んだ。そして二人で学校から少しはなれた河川敷へ行き、延々と歩きながら、本当はもう結論の出てしまっている問題について話し合った。

「お金はさ、何とかなると思うんだ。・・・いまさらなんだけどさ、夏に会った二人組み、覚えているだろう?」

「うん、久々利さんと江田さん」

「あの人たちと同じ仕事をするのはどうかな」

「霊能者もどき?」

「そう。俺と香子なら、多分かなりいける」

「それは、そうだね」

「あの二人も月に10万くらいはって言ってた。俺らが本気になって仕事をいつもやれば、香子が一人暮らしする分くらいはいけると思う。二人暮らしでもいけるだろう」

「いけるよね。広告なんか見たけど、月5万円でも結構ちゃんと家があるもんね」

「食費って、大体3万円で足りるかな・・・。それに光熱費で1万円くらいかな」

「服もあんまり買わなければいいもんね」

「病院も、行くようなことないもんな」

二人とも、実現可能性がないことはわかっていたが、えんえんと二人で暮らすことについて考える。

「でも、部屋、中学生じゃ借りられないよね」

「電気とかの契約もできないよな」

「てことは、親の了解がないとやっぱダメか」

「だなあ」

そしてしばらく無言で歩く。河川敷を端まで行って堤防上の道路へ上がり、橋を渡って対岸の河川敷にまた降りる。歩いているうちにまた話が始まる。話が詰まる。また堤防に上がり、橋を渡る。

「親の反対押し切って家を出るんだから、最悪家出だし、お金とか出してもらえるって期待しちゃダメだよね」

「うん・・・」

「だとしたら、高校のお金もいるね。俺はダメだけど、香子だと勉強で奨学金のあるところいけるかな」

「でも制服代とか要るね」

「そうか、高校は私立だと特に結構高いって聞いた」

「教科書代とかも。塾はやめるしかないかな・・・やっぱうちらって親に守られてるよねえ」

「そうだな・・・まだ義務教育中なんだなって思う。仕方ないけどさ・・・」

「・・・親の庇護なしじゃ、まだ、やってけないのかな」

「バイトとかしまくって・・・普通の高校生はできないね。特に俺ら、普通じゃないバイト考えてるし」

「うーん、大学とかも無理だな。高校の間に大学の入学金はたまらんでしょう」

「香子成績いいのにな・・・」

「でもいい大学で授業料免除取れるほどではないと思う。まして今みたいに余裕もって勉強できる環境じゃなくなるのに」

二本の橋の間を3周したところで日が落ちた。川岸は急に寒さを増した。

「帰ろうか」

「うん」

淳でさえ、荷物を背負ったままの体が痛かった。川面をすべる風は、普通の道で感じるよりも、冷たくて重たかった。淳は、部活に行くよりも運動量多かったかも、と思った。