みるということⅱ



僕が、自分の能力に気づいたのは小学2年生の夏休みが終わった頃だった。



僕は、その日たまたま学校の帰り道に近所の家に寄り、その寺が作っている漫画の図書館に行こうとした。そこへ行くのは一ヶ月ぶりくらいで、新しい漫画がないかなと思ったのだ。

すると、門を入ってすぐ、知らないおばあさんと目が合い、手招きされた。なんだろうと思ってついていくと、人気のない寺の建物の裏には大きなケヤキの木があり、おばあさんはそこの地面を指すようなしぐさをした。僕は、そこの地面がなんとなく一部分だけへこんでいるように見えたので、何か宝物でも埋まっているのではないかと思って寺の墓地に掃除道具として置かれていた移植ゴテでそこを掘り返した。その前日は雨が降っていたこともあって簡単に掘り返せた。すると、なんとなく地面の色が変わってきた。少し掘ると関東ローム層の赤土が出て、湿った感じになる地域ではあったのだが、どうもそれにしては赤黒い。と、ここまで言ってしまえば大体読めるだろう。出てきたのははじめは血だまり、次いで死体だった。

僕は服が出てきた時点でそれが死体だとわかったから、いったん薄く土をかぶせ戻してから大急ぎで寺務所に走っていった。


僕がどうしてそこを掘ったのか、まだそんなに年のいっていない、当時の僕の母親くらいの年齢の婦警さんが辛抱強く聞いてきた。

「門のところにおばあさんがいて、その人が指差したところを掘ったの」

「おばあさんはどこにいたの?」

「門の横。着物で、時代劇みたいな髪がたした人」

「どんな着物?」

「こげ茶色で縦じまの着物」

結局おばあさんは見つからなかった。