実家に帰省するとき、母は必ず保冷バッグを忘れず持ってくるように言う。
私にいろいろ持たせるためだ。
帰るときはいつも、旅行バッグとその空の保冷バッグだけ持って帰るが、
自宅に帰る際には、荷物が3倍くらいの量になっている(笑)。
先日帰省したときは、
庭の畑でとれたなすと柿。
値段が上がるからと、買い置きしておいたサラダ油と醤油を各2本ずつ。
お米5㎏。
一緒にスーパーに行った際に買った、野菜いろいろ。
買って冷凍しておいたお肉。
前日に炊いた栗ごはん3人前。
ゆうパックのお取り寄せで届いたピオーネと、果物農家さんから安く分けていただいた、シャインマスカットを一房ずつ。
その他諸々エトセトラ・・・
もらっていることを認識している物とは別に、
帰ってから荷物を出していて、
「えっ!これも入れてくれたの」
みたいなのも結構ある。
こういうの、私だけではない。
母は、人にいろいろ持たせるのが好きなのだ。
県外の大学に通っている姪っ子にも、何かあるたびにいろいろ段ボールに入れて送っていて、
この前も、姪っ子本人から、
「バームクーヘンはもういいよ・・・」
と言われていた
とにかく昔から、人に何か作って食べさせるのが大好きで、
特にツラそうな人や困っていそうな人を見ると、放っておけない。
病気でしんどいとか、ご親族がなくなられて独りぼっちになった人など、
元気になってもらいたくて、ひたすら何か手料理を持たせる。
当のご本人が、ありがた迷惑と思っていないか、など考えていない。もちろん。
こういったことを、娘の私なら受け止められるが、他人さんはどうだろう?と常々気になっている。
なんか、押しつけがましい気もするし・・・
そんな母と、いろいろ会話をするうちに、
最近になって知ったこととか、分かってきたことがポロポロ出てきた。
母は幼いころ、ヤングケアラーだった。
祖母は、とにかく若いころから体が弱く病気がちで、
朝から元気な日、というのがほぼなかった。
母が学校から帰ってきても、祖母はいつも寝込んでいたという。
幼い母は、自分の母親に元気になって欲しくて、
毎日弟の世話をしながら、台所に立って食事を作った。
当時の台所といえば、おくどさん。
今のようなシステムキッチンなどでは、もちろんない。
「私が作ったごはんを食べたら、お母さんはきっと元気になってくれる。」
そんな思いで、毎日ごはんを作り続けた。
「私はね、子供たちに元気がない姿を見せるのは絶対嫌やったんよ。
だって、自分の母親が元気やったのを見たことなかったけん。
母親がね、毎日寝込んでいたら子供はツラいもんよ。
たま~に学校から帰ってきたとき、自分の母親が元気で起きていたら嬉しかったもん。」
この話を聞いたとき、私は初めて母を理解できた。
母の中の幼い自分が、心の傷が、今も誰かに何かを持たせるということをし続けているのだ。
きっと幼い母が、
「私がごはんを作ってお母さんが食べてくれたら、きっと元気になってくれる。」
と思ったのと同じように、
「私がいろいろ持たせてあげたり、料理のおすそ分けをしてあげたら、きっとこの人は元気に過ごしてくれる。」
という無意識の思いがあるのだろう。
というよりも、
「私がごはんを作って食べさせてあげたら、きっとお母さんは私を愛してくれる。」
これが、幼い母の思いだったのだろう。
誰かに(家族でも友人でも)愛してもらうために、何かを差し出す。
だから、相手から何も返ってこないと虚しいと感じる。
この母の心の傷を知った時、胸が締め付けられるようだった。
そんなことをしなくても、たとえ何も貰えなくても、
私は母を愛している。
そしてそれは、他の人も同じなのだ。
それに母自身が気づく日が来るだろうか。
同じ姉妹でも、妹は必要のないものはくれるといってもキッパリ断る。
でも、いつも空虚な私は、いただけるものはいただいて帰ってくる
そして私自身も、自分が持ってないと思い込んでいる心の傷と、
向き合わなくては・・・
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