『一番美しく』
1944年(日) 黒澤明監督作品
戦局が混迷し始めたであろう1944年に制作された、
黒澤明監督による戦意高揚作品。
自らの悲しみや苦労よりも、
お国のために働くことを良しとする女子挺身隊たちの青春模様。
お国のためにという言葉がとても美化されているように感じますが、
どことなく反戦映画の趣のあるところに、
黒澤監督の反骨心を感じます。
女子たちが働いている場面にアメリカの作曲家の音楽をさりげなく使ったりね。
兵器に使われるレンズ工場が舞台となっているのですが、
その描写には、
モノづくり大国ニッポンのルーツを見ることができます。
同じく戦意高揚映画でありながら、
静かに反戦を描いた木下恵介監督の、
『陸軍』が同じ年に制作されているのが興味深い。
二本とも当時の映画製作事情が垣間見れる。
黒澤映画独特のダイナミズムはありませんが、
小道具の使い方、カメラワーク、
そして音楽の使い方には十分に黒澤イズムを感じられます。
現代の感覚からすると奇異に映る場面もありますが、
それも含めての作品なのです。
おススメです!
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